■「島の先生」 NHK総合、土曜午後9時
ドラマの舞台は離島の学校。さまざまな問題を抱え都会から“留学”してきた子供たちを受け持つ主人公の教師、夏村千尋を演じている。「ほんわかしたイメージのタイトルですが、千尋も生徒もみな辛い過去を抱え、重いシーンもある。みんなが自然の壮大さに助けられつつ成長していくお話で、台本を読めば読むほど引き込まれます」
千尋自身、母との関係がうまくいかず、中学時代にはこの島で留学生活を送っていた。大人、子供を問わず、悩みながらも前を向こうとする人々の姿が丁寧に描かれている。
教師役は「ごくせん」以来。「物語も雰囲気も全く違う作品なので、迷いなく役に入り込めた」と手応えを語る。子役をはじめ初共演者も多かったが、鹿児島・奄美群島でのロケを通じて「自然な距離」で作品に集中できたようだ。
出身は沖縄。「海は昔から当たり前のように近くにあった。でも長い間、こうして海や自然を見る時間はなかったかも。子供たちは、お互いを気遣える空気ができあがっていて、本番では台本にないセリフも素直に出てきていた」。生徒をたたえる表情は教師そのものだ。
「TRICK」「ごくせん」などヒットした主演作は多く、女優としてのキャリアを着実に重ねている。主演を務めた平成18年のNHK大河「功名が辻」を「1年以上、体力やモチベーションを保たなければいけない大きな仕事。初めてのことで、がむしゃらにやっていましたね」と懐かしそうに振り返る。
収録の合間、周囲へのねぎらいや差し入れを絶やさず、スタッフや共演者からは「気配りの人」との呼び声も。本人は「現場ではどうしても接する時間が長くなるので、周りが何となく見えているだけ」と謙遜するが、大河での経験が“もてなしの力”を養ったのかもしれない。
休日の気晴らし法を尋ねると、「何年か前から、仕事とプライベートの境目はないんです。お休みの日でも台本を読んだり、作品の勉強をしたり」と笑顔で答えた。仕事にかける努力をさらりと語る姿に、女優の気高さがにじんでいた。