2006年にブラジル人モデルが拒食症で亡くなりました。この拒食症は、過食症とともに摂食障害と呼ばれています。よく勘違いされているのですが、摂食障害は異常なダイエットでも、食べすぎてしまうだけの病気ではありません。この2つは別々にされることが多いのですが、現れ方が違うだけで、摂食障害という同じ病気ですです。そして、異常なほど食べてしまったり、逆に食事を拒否し続けたりしてしまう背景には、精神的な要因が大きく関係しています。
モデルが拒食症(摂食障害)で亡くなって以降、ファッション業界では“やせすぎモデル問題”の議論が過熱しました。「スリムすぎるモデルや女優を称賛するのはいけないのではないか?」というふうに、潮流が変わり始めたのです。
精神的な問題がなければ摂食障害は起きません。人は理性で食欲をコントロールできるようになっています。ですから、お腹がいっぱいになれば、無意識にでも食べるのをストップします。しかし、そのような理性を狂わせてしまうほどの精神的なストレスやショックを抱えると摂食障害を起こす場合があるのです。たとえば失恋のショックからやけ食いをはじめ、それが習慣になってしまい、拒食症になってしまったということなどは、よく知られている例ではないでしょうか。摂食障害の原因は、そのようなストレスを引き起こしてしまうような周りの環境・本人の性格が大きく関係しているわけです。。
そこでファッション誌『VOGUE(ヴォーグ)』が今年5月に発表した各国編集長による共同声明は注目に値します。不健康なほどやせたモデルに憧れた読者が無理なダイエットに走ることを防ぐために、「摂食障害のように見えるモデルを起用しない」など、女性の理想的なボディのイメージをより健康的なものにする編集方針を打ち出したのです。『VOGUE』は女性に影響力の大きいファッション誌です。多くの女性がモデルの体型を理想形だと信じ、あるいはそれが社会的脅迫として、女性たちに重くのしかかり、その結果、ストレスなどを抱え、摂食障害を起こしてしまう問題はつとに指摘されていることですから、共同声明後の女性のダイエットなどに対する考え方の行方に注目です。
摂食障害
摂食障害は心の闇に根付いた問題です。簡単には解消されるものではありません。しかし、摂食障害は正しい治療を行えば治らない病気ではないのです。自らの治したいという強い意志と、この病気を理解してくれる家族や友人の協力や支えで、信頼できる専門医と共に治療してください。