ザックジャパンが、最大にして最後の難関に挑む。W杯アジア最終予選オマーン戦(マスカット)が今日14日に行われる。気温差を不安視するアルベルト・ザッケローニ監督(58)にとって、全員での練習が前日練習だけというぶっつけ本番は初めて。日程に恵まれ万全の準備をして戦った前半戦を首位で折り返し、アウェー3試合を含めた後半戦初戦が初の中東。不安要素が積み重なる中、同監督は勝利を願った。
不安を押し殺し、壇上で腰を下ろした。前日練習の前に行われた公式会見。1度も選手全員と練習することがないままザッケローニ監督は会見に臨んだ。就任後、初めてのケースをW杯最終予選という場で迎える。しかも敵地・中東。同監督は「珍しい日程でのアウェーになる。昨日の夜遅い時間帯に全員が集合した。ただ、これは大きな妨げにはならない」と言い聞かせたが、前夜最後にDF長友が到着したときには、すでに日付は回っていた。
恵まれた日程だった前半戦から一転して、苦しい状況を強いられる。FIFAが設定する規定では、欧州組の選手を拘束できるのは、試合の48時間前から。それによってメンバーの半数以上を欧州組が占め、各国リーグの試合後に時間差での合流を強いられた。ここまでは、いずれも直前に親善試合を組み、メンバー全員で準備期間を設け、3勝1分けの成績。だが、苦しい「ぶっつけ本番」を、同監督は「通常よりも2倍の意味がある試合だ」と位置付ける。
長友、長谷部、岡崎が合流し、ようやく全員が集まった前日練習。今回初めて非公開となったが、いつものように10対10の戦術とセットプレーの確認が行われたもようだが、通常より時間を費やすことはなかった。連係面での確認を満足にできないまま臨む。それでも長友は「今までやってきたことをやる。後はおのれに勝つつもりでやること」と気持ちとフィジカルでカバー。一方で主将の長谷部は「それも全部含めて最終予選。雰囲気をつくっていく」と平常心を強調した。
加えて中東の気候。この日の最高気温は32度。オマーンメディアからの指摘に対し「気候、気温は唯一の不安であることには間違いない」と思わずこぼした。直後に「それはオマーン代表にも言えること。両チームのパフォーマンスに影響を与えるだろう」と強がった。ただ、地元フリーライターのアド・テネン氏によると「夏は40度以上にもなるんだ。この時期なんて涼しいもの。暑くなんてまったくない」と、オマーンにとっては苦にならない気候だと考えた方がよさそうだ。
次節3月にも敵地でヨルダン戦が続くが、こちらは直前に親善試合を組む可能性が高い。原技術委員長は「相手が単独チームになるのかを含めて考えている。可能性は否定しない」とし、次は準備に時間がかけられる。今予選、最大にして最後の難関。足をすくわれることがあれば勝ち点差は一気に縮まる。しかし勝てば王手をかけられる。「残り4つのうち3つがアウェー。ここで勝って早くW杯を決めたい。勝ちにいく気持ちは変わらない。覚悟しながら、自負しながら結果を求める」と同監督。勝って2倍の喜びをかみしめる。