■特許紛争:米国での判決に注目、内容複雑で評議延長も
韓国ではひとまずサムスン電子にやや有利な判決が出たが、今後の関心事は残る8カ国で進行中の裁判の行方だ。アップルにとっては、韓国での売り上げは非常に少ない上、サムスン電子も携帯電話端末の販売の80%は海外だ。このため、海外市場での訴訟が「メーンゲーム」となる。
韓国での判決では、損害賠償の金額が双方合計で6500万ウォン(約450万円)にすぎない。米国での訴訟では、アップルの賠償請求額が25億ドル(約1970億円)、サムスンの賠償請求額が4億ドル(約310億円)に達する。サムスン電子の株価は24日、韓国での裁判で事実上勝訴してもなお、1%下落した。
最も関心が集まるのは米国での訴訟だ。カリフォルニア州北部連邦地裁での訴訟は最終弁論を終え、陪審員による評議が続いている。早ければ24日午前(韓国時間25日未明)に最終評決が出る見通しだ。米国は陪審員制を採用しているため、どのような評決が下されるか予想が難しい。韓国の判決がサムスン電子に有利な形で下されたように、米国人の陪審員がアップルに有利な判断を下す可能性もあるためだ。
陪審員の評決がアップルに有利な形で出たとしても、判事がそれを覆すことができる。今月13日には、スマートフォン(多機能携帯電話端末)「ブラックベリー」を製造するカナダ企業、リサーチ・イン・モーション(RIM)がエム・フォーメーションの特許を侵害したと判断した陪審員の評決を判事が覆し、RIMが勝訴している。
世界的な注目が集まる裁判だけに、裁判所であらゆる結論を下すのではなく、市場の判断に委ねようという中立的な判定が下される可能性もある。陪審員は23日午前9時(現地時間)から午後4時半まで予定している評議を1時間延長した。評議延長の具体的な理由は明らかにされていないが、裁判の内容があまりに複雑で、陪審員が細かく評決を下すのに時間が必要なためとみられている。
サムスンとアップルは現在、韓国、米国、英国、日本、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストラリアの計9カ国で30件の訴訟を展開している。サムスンは通信関連の特許を、アップルはデザイン関連の特許を相手方に侵害されたとそれぞれ主張している。このうち、ドイツ、オランダ、英国では一審判決が出た。特許侵害を認めたのはオランダだけだ。オランダの裁判所は今年6月、アップルがサムスン電子の通信関連の特許1件を侵害したとの判決を下した。ドイツの裁判所は双方による特許侵害をいずれも認めなかった。英国ではサムスンが「デザイン特許不侵害確認訴訟」で勝訴している。
残る国々では裁判が進行中だ。各国の訴訟結果は他国の裁判に法理的には影響を与えない。韓国や米国でいずれかが勝訴したとしても、日本、フランスなどでは異なる判決が出る可能性がある。
■サムスンがアップル特許侵害、損害10億ドル超 米地裁
米アップルと韓国サムスン電子がスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」などの特許やデザインを巡って争っている訴訟で、米カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所(サンノゼ市)の陪審は24日、サムスンがアップルの一部特許を侵害したとの評決を言い渡した。アップルの損害額は10億ドル以上に上ると認定した。
「アップルがサムスンの持つ特許を侵害している」とするサムスンの訴えは退け、サムスンの損害は無いとした。
今回の訴訟は2011年4月に、アップルがサムスンを特許侵害で訴えて始まったもの。サムスンはグーグルが開発したOS(基本ソフト)「アンドロイド」を搭載したスマホやタブレット(多機能携帯端末)を手掛けており、アップルとグーグルの代理戦争という側面もある。アップルとグーグルの地元での評決とあって、注目を集めてきた。
両社の訴訟では、韓国のソウル中央地裁が24日、アップルとサムスンがそれぞれ互いの特許を侵害したとの判決を下し、両社に損害賠償を命じたほか、一部機種の販売差し止め命令を出した。
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主権は国家にある。日本は異例で、主権は、戦前は天皇、戦後は国民にある。主権は正義である 正義は国の数だけある。法律(正義)も然りである。各国の訴訟結果は他国の裁判に法理的には影響を与えない。経済活動には国境線は存在しない。正義が示された場合のみ、国の存在に気づくものだろう。サムソンとアップルに対して、日本やフランスは、どのような正義を示すだろう。