税関当局は北朝鮮の核実験に対する国連の安保理決議を受けて、おととし施行された貨物検査法に基づいて初めて、東京港に入港した貨物船のコンテナを検査していることが分かりました。コンテナの積み荷は北朝鮮が輸出したとみられ、関係機関が詳しく調べています。
検査を受けたのは今月22日の夜、東京・品川区の大井ふ頭に入港したコンテナ貨物船です。北朝鮮を巡っては、核実験に対する国連の安保理決議を受けて、おととし、貨物検査法が施行されています。
税関や海上保安庁、それに経済産業省などの関係機関は、北朝鮮がこの貨物船に安保理決議で輸出入を禁じられた物資を積み込んだ可能性があるという情報を得たため、今回、この法律に基づいて初めて、検査を行いました。
その結果、北朝鮮が輸出したとみられる2つのコンテナが見つかり、東京・江東区にある税関の施設に運んで詳しく調べたところ、北朝鮮の製品であることを示す刻印が入った鋼材のほか、アルミ製の棒が見つかったということで、関係機関が材質を詳しく分析するなどして調べています。
◇北朝鮮監視国際社会の動き
国際社会が北朝鮮に対する監視をさらに強めるきっかけになったのは、3年前、北朝鮮が行った2度目の核実験です。国連の安全保障理事会は新たな決議を採択し、北朝鮮に対する経済制裁を強化しました。
これを受けて日本でもおととし、北朝鮮による核やミサイル関連物資の輸出入を監視するため、貨物検査法という新しい法律が成立し、こうした物資を積んでいるという確度の高い情報があれば、公海上でも外国の船に立ち入り検査ができるようになりました。
しかし、北朝鮮による軍事転用可能な物資の輸出は続いているとみられ、2009年11月には、ギリシャ政府が北朝鮮から中国を経由してシリアに向かう途中だったとみられる貨物船をだ捕したところ、1万着を超える化学防護用のコートなどが見つかりました。また、去年5月には南シナ海で、北朝鮮を出港した貨物船に対し、アメリカ海軍の駆逐艦が立ち入り検査を求めたところ船長が拒否し、その後も監視を続けた結果、方向転換し北朝鮮に戻るというケースがありました。さらに、去年8月、ミサイル発射台を兼ねるとみられる大型の特殊車両4台が、中国から北朝鮮に貨物船で運ばれたことが日本の調査で判明し、ことし6月に公表された国連安保理の報告書にも、さらに検証するケースとして明記されました。