『悪の教典』(貴志祐介、文藝春秋)が、映画化される。伊藤英明さん主演で、2012年11月公開。同作は、宝島社の「このミステリーがすごい! 2011」国内部門1位となるなど注目を集めた「学校が舞台の殺戮(りく)劇」だ。12年6月末、電子書籍版(1470円)の配信が、「ソニーの本屋Reader Store」で始まった。
邪魔者は消す。殺害するのだ。生徒だけでなく、教師仲間や保護者らからも人気と信頼を集める高校教師の蓮実聖司は、その仮面の下に恐ろしい本性を忍ばせていた。子どもの頃から「他者への共感能力」が欠け、邪魔者を排除するために人を殺すことに何の躊躇も感じない人物なのだ。
明晰な頭脳を駆使して発覚を抑えていたが、ある日、歯車が狂い始める。そこで取った行動とは、学園祭準備のため夜の学校に集まったクラスの生徒らを次々と殺害していくことだった。お気に入りのオペラ劇中歌「モリタート」の口笛を吹きながら――(*1)
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『三文オペラ』(Die Dreigroschenoper)はベルトルト・ブレヒト(Bertolt Brecht)の戯曲。クルト・ワイル(Kurt Weill)が作曲を手掛けた音楽劇であり、1928年8月31日にシッフバウアーダム劇場の開場に合わせて初演され、大成功を収めた。何度も映画化されている。ジョン・ゲイの『ベガーズ・オペラ』をブレヒトのパートナーだったエリザベート・ハウプトマンが英語からドイツ語に翻訳したうえ、これを改作したもの。劇中歌『メッキー・メッサーのモリタート』は『マック・ザ・ナイフ』というタイトルで大ヒットし、スタンダード・ナンバーとなった。
学校の血塗られた一夜の先に見えてくるものは何か。単なる「異常な教師」の話ではなく、現在の学校がかかえる閉鎖性やモラル破綻などの病理も描いている。
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