与野党の9党首が自らの政策や主張などを訴える動画が4日午前0時からインターネット番組で公開された。各党とも参院選比例代表への届け出前のため選挙運動にわたる発言はできないが、ネットを使った選挙運動が解禁されるのを踏まえ、選挙期間中の積極的な情報発信をアピールした。
ネット動画中継サイト「ニコニコ動画」が公示日の各党首「第一声」として利用者にいち早く届けようと企画した。9党ごとに、事前収録した5分程度の党首の訴えを視聴することができる。
◆「ネット党首討論会」視聴者は前回比9割減
ユーザー質問で児童ポルノ禁止法問題「ネット党首討論会」の視聴者数は十数万人と、初回だった前回より9割も減少。ユーザーからの質問にこたえ、各党党首が児童ポルノ禁止法について意見を述べた。
ドワンゴの動画サービス「niconico」が主催する「ネット党首討論会」が6月28日、東京・六本木のニコファーレで開かれ、与野党8党の党首が討論に参加した。その様子はニコニコ生放送とUsteramでライブ配信され、両サイト合計で十数万人がリアルタイム視聴した。
昨年11月に開かれた初のネット党首討論会はニコ生のみで配信して140万人が視聴しており、今回の視聴者数はその10分の1以下と注目度が激減。会場に取材に訪れたメディアの数も減っていた。
出席者は自由民主党・安倍晋三総裁、民主党・海江田万里代表、公明党・山口那津男代表、みんなの党・渡辺喜美代表、生活の党・小沢一郎代表、日本共産党・志位和夫委員長、社会民主党・福島みずほ党首、みどりの風・谷岡郁子代表。当初出席予定だった日本維新の会・橋下徹代表は「大阪市の委員会に出席するため」欠席した。
討論は、あらかじめユーザーから募集した経済政策や外交などに関する質問に各党首が答えたり、安倍首相に疑問を投げかける形で進行。ユーザーからの質問が多かった、児童ポルノ禁止法改定案への是非については、各党首が意見を表明した。会場のスクリーンでは会の冒頭と最後にユーザーのコメントが表示されたが、各党首からコメントへの言及はなかった。
◆児童ポルノ禁止法問題、各党代表が賛否を表明
安倍首相「あくまで子どもを守るための法律」ネット党首討論会で、自民・公明・日本維新の会が共同提出した児童ポルノ禁止法改定案について、出席した各党首が賛否を表明。各党首のコメントをまとめた。
6月28日夜に開かれた「ネット党首討論会」で、自民・公明・日本維新の会が共同提出した児童ポルノ禁止法改定案について、出席した各党首が賛否を表明した。
これに先立ち、自民党総裁の安倍晋三首相はユーザーからの質問に答える形でコメント。「児童ポルノ禁止法は、あくまで子どもたちを児童をポルノ産業から守るための法律で、それがすべてと言っていい」とした上で、「もちろん表現の自由は守っていかないといけないが、まずは子どもたちを守っていくことが大事ではないか。それが私たちの役割・責任なんだろうと思っています」と述べた。
出席した各党党首のコメントは以下の通り。順序は発言順。維新の橋下徹代表は欠席した。
【コメント】
社民党・福島みずほ党首
改定案には社民党は反対。児童ポルノの定義があいまいなため、自分が持っているものが児童ポルノと思わなかった、ということはありえる上、家宅捜索もどこでも入ることが可能になるおそれある。写っている対象者が何歳というので判断していたものが、アニメだと該当するのかどうかと、表現の自由との関係で問題がある。
生活の党・小沢一郎代表
3党案には反対。児童ポルノを理由にして色んな分野で広範囲に官僚による規制強化につながるおそれある上、表現の自由を阻害するおそれ大きい。世界的に評価されている漫画・アニメを損なうおそれがある。
公明党・山口那津男代表
子どもの人権を損なう弊害があまりに大きく、改正が必要だ。情報が国際的に流通可能になっている中で、国際社会から厳しい批判にさらされている。表現の自由には一定の配慮が必要だが、実害に目をつぶるわけにはいかない。審議した上で規範を社会に示していく必要がある。営業活動の自由などと混同してはならない。子どもの人権・人格をいかに守るかが大切だ。
民主党・海江田万里代表
子どもを性的搾取から守るということはその通りだが、法案には問題があり、最低限修正すべきだ。単純所持規制は過去何年もそれと知らずに持っていた罪になるので安全装置はつけなければならない。漫画・アニメには被害を受ける子どもそのものがいないから、これは考えないといけない。クールジャパンで伸ばしていかないといけないものが、若い漫画家やアニメの作り手が萎縮してしまう。
自民党・安倍晋三総裁
アニメやCGなどには慎重にするということになっている。単純所持は禁止の必要がある。商業的な販売は現在もダメになっているが、国際的な規制の流れでは子どもをポルノ産業から守る流れになっていることも忘れてはならない
みんなの党・渡辺喜美代表
子どもの人権をどう守るかは検討が必要だが、改定案には問題点が3つある。まず漫画・アニメ規制がされようとしている。出版社の自主規制で文化が廃れる可能性もあり、憲法が保障する表現の自由を保障する憲法21条に抵触する可能性がある。また警察・検察による恣意的捜査を可能にしてはならない。検索エンジン会社による運用が難しく、幅広くブロックしなければならなくなる。
共産党・志位和夫委員長
児童ポルノは子どもへの最大の虐待であり、大人の責任で根絶すべきだ。だがネット上の児童ポルノのほとんどが現行法で取り締まることが可能。単純所持を一律規制したり、創作物も規制対象にするとなると、問題解決に役立たないばかりか表現の自由と人権の侵害につながるので反対だ。
みどりの風・谷岡郁子代表
民主党案には賛成だが今回の提案には全く反対。現行法で取り締まれるものや、これを補えばカバーできる。コミケには漫画家を目指す人たちがいて、コピーやパロディーから始める。中には性的な部分を含んだものがある、こうしたものを否定したらサブカルチャーは成り立たない。