参院選の公示日を迎えた。しかし、依然として選挙熱は盛り上がりに欠け、低投票率が心配される。
選挙戦の基本構図は、自公、特に自民党に複数の野党が挑む形になっている。だが、与野党双方ともに世論の強い追い風を受けてはいない。
新聞各紙は、前週末にそれぞれ世論調査を実施。それによると「参院選比例区投票先」の調査は各紙とも自民党が40%台前半でほぼ一致している。
朝日新聞調査では、投票先が自民44%に対し、民主党、日本維新の会、みんなの党がいずれも7%で並び、共産党5%、公明党4%となっている。ここに来て野党の軸となる政党がないことが際立ってきた。
世論調査ではおおむね安倍晋三内閣の支持率が微減し、不支持率が微増しているが、これは株価の乱高下や食料品の価格上昇などの影響もあるが、やはり野党側の選挙準備活動が一定の成果を上げているからであろう。選挙前のいつもの現象だ。
◆アベノミクスは円安に嘆く主婦に希望を示せるか
今回の参院選は結局、マーケットとスーパーの2つが鍵を握っていると言ってよい。
マーケットはこのところ堅調に見えるが、選挙中に5月23日のような株価暴落が相次げば、アベノミクスへの不安が高まり安倍政権への厳しい批判が高まるだろう。
だが、1日発表の6月の日銀短観は、大企業の景況感が劇的に改善したことを伝えている。大企業製造業では、1年9ヵ月ぶりにプラスに転換した。中小企業でも足取りは遅いものの改善の方向に向かっていることが示されている。
この日銀短観の内容はマーケットにある程度の落ち着きをもたらすかもしれない。
むしろもう1つの「スーパー」のほうが問題だろう。テレビは連日、スーパーで買い物をする主婦の嘆きを映し出している。果たして円安による輸入品価格の上昇に耐え得るだけの希望をアベノミクスはわれわれに示すことができるか。野党の攻勢はこの一点に集中するだろう。
◆なぜ重要な参院選であるのに盛り上がらないのか
さて、本来ならば、今回の参院選は、日本の将来の骨格を決める選挙のはずであった。
?統治構造改革、?原発政策、?TPP参加問題、?財政と社会保障制度改革など。
それに憲法改正や歴史認識、領有権問題や沖縄問題もある。
消費税増税以来の政治の混乱の中で、これらの重要課題が脇に追いやられた感もある。
一番重要な時期の重要な選挙をこうした盛り上がらないものにしてしまった一義的責任は、あえて憲法違反の総選挙を断行した民主党政権にあることは言うまでもない。
もしも、衆参同日か同時期で両院の選挙を実施すれば、各党は前述の課題に対する主張をもっと前面に出して戦うことができたし、そのための政界の再編も諸に就いたはずである。
マーケットとスーパーが大きな影響を与えかねない選挙は、政党や有権者の長期的な展望を曇らせる恐れがある。
中・長期を見据えた新聞などメディアの建設的な役割が今まで以上に期待される。