国際自然保護連合(IUCN)は2日、世界の絶滅危惧種は2万934種に上るとした最新版の「レッドリスト」を発表した。生息状況を評価した計7万294種の約30%に当たるという。
IUCNはニホンウナギを絶滅危惧種に指定するかどうかの検討を始めており、5日まで英国で開かれる専門家を集めた会合で議論する。同会合で指定が決まり、さらに上部機関での検討を経て正式に決定すれば、次回以降のレッドリストに絶滅危惧種として掲載されることになる。
IUCNによると、今回は中国の揚子江に生息する淡水イルカの仲間「ヨウスコウスナメリ」が「ごく近い将来に絶滅の危険性がきわめて高い種」に分類された。1980年代から年5%のペースで減少し、2006年の生息数は約1800頭と推計されていた。
また淡水に生息するエビの全種を評価し、28%が絶滅危惧種と判明した。98年に全種を評価したスギの仲間についても再評価し、絶滅危惧種が34%に達した。乱開発などにより評価が悪化した種もあるが、保全活動の効果で回復している種もあるという。
米アリゾナ州の川に生息していたメダカの仲間が新たに絶滅種に認定された。水の枯渇が原因という。ほかに淡水エビの仲間と、1912年に最後に目撃されたトカゲの1種も追加され、絶滅種は799種となった。
ニホンウナギを巡っては、2月に日本の環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定された。IUCNが指定しても法的拘束力はないが、漁獲や国際取引の規制を求める声が高まるとみられる。