女子バレーボール日本代表新主将の木村沙織選手が、ダイキン工業株式会社の子会社ダイキントルコ社がスポンサー契約を結んでいる名門チーム、ガラタサライ・ダイキンに移籍することに合意した。
トルコでは、欧州やアジアなど世界トップクラスの選手が多くプレーしているため、地元メディアが「国連リーグ」と呼ぶほどバレーボールの人気があります。また、欧州各国の上位チームで競う欧州チャンピオンズリーグでも、トルコのクラブチームは、ここ数年は毎年のように上位に食い込んでいる。
ガラタサライ・ダイキンは、総合スポーツクラブであるガラタサライ・スポル・クリュビュの女子バレーボール部門として、1922年に創設(当時のチーム名:ガラタサライ)され、トルコ女子リーグで優勝4回を誇る。ダイキントルコ社が2012年10月よりスポンサー契約を結んでいる。
木村選手は日本国内のVプレミアリーグでの活躍を経て、2012年10月よりトルコのワクフバンク・スポーツクラブでプレーしてきた。同国リーグで2年目を迎えるにあたって木村選手は、今回ガラタサライ・ダイキンに移籍し、トルコでの選手活動を続けることを決断した。
世界トップクラスの選手が集まるトルコリーグでの活躍を通じて、日本バレーボール界だけでなく世界のバレーボール界を代表する選手として、さらなる飛躍をすることを期待したい。
ガラタサライには昨季、佐野優子(チューリヒ)が在籍した。
木村が在籍したワクフバンクは昨季、欧州チャンピオンズリーグ(CL)を制したが、木村の出場機会は限られていた。一方、ガラタサライは欧州CL4位。
同じ五輪銅メダリストの佐野優子が昨季所属したガラタサライは昨秋、日本の空調機器大手ダイキン工業の連結子会社ダイキントルコとスポンサー契約を結んだ。
木村沙織選手
海外移籍2年目を「ガラタサライ・ダイキン」にてチャレンジすることになりました。初年度は、あまり試合で結果を残すことができませんでしたが、そんな自分をしっかりと見ていて頂き、熱いオファーを頂いた、マッシモ監督には本当に感謝をしています。 昨シーズンは本当に多くのことを経験させて頂きました。引退を決意したときもありましたが、日本代表のキャプテンをお受けすることになり、キャプテンとしてチームを引っ張っていくためにも、この2年目の海外挑戦は非常に重要であると感じています。いい意味で自分の殻を破って、この大きなチャレンジを思う存分楽しみたいと思っています。これからも応援よろしくお願いいたします。
マッシモ・バルボリーニ監督
世界的に優秀なプレーヤーである木村沙織選手の我々「ガラタサライ・ダイキン」への移籍が決まって大変嬉しく思っています。木村選手は、日本代表チームの主将に選ばれた優秀な選手であり、伝統ある日本のバレーボール界にあって最も重要な選手であると評価しています。 彼女が技術的にはもちろん、チームのフォーメーションにも必要であり、効果の期待できる移籍といえます。
=====================
ワクフバンクでの木村選手は、出場機会はセット終盤の後衛での使用に限られ、何となく物足りなさを感じた。ワクフバンクのチームカラーはざっくり言えば男子バレーに近い雰囲気である。一方、木村選手はパワーで押すタイプではない。また高さもこのチームでは特別高いわけではない。木村に期待されていたのはオールラウンダーとしての素質だった。このチームでいうならばレシーブやサーブだった。
一時はスタメンで前衛でエース的な役割を試されたこともあった。だがセッターとうまく合わなかった。そこでヨーロッパチャンピオンズリーグでは守備要員、トルコリーグ終盤はベンチ外のことが多かった木村も世界レベルというのを肌で感じることもできただろう。
高いブロック2枚を打ち抜く技術などは海外リーグでないと経験できない。しかし、木村の場合は、そこにセッターありきなのである。
海外のセッターは竹下選手のような日本のセッターと異なり、トスはハイボールで、しかも多少のブレも、スパイカーが打ち抜く技術とパワーがあるため何とかなっているといっていい。ストレートに言えば竹下レベルのセッターは海外にはいないのである。そのため木村は、少なくとも昨シーズンはうまくいっていなかった。確かに木村は天才肌である。セッターに難があっても、そこが器用に修正できる能力があるという見方もできる。
しかし、これまでの木村とセッターとの関係を見ると、必ずしも天才肌のみで解決しきれないこともあるようだ。2011年の木村選手は絶不調だった。あの時、竹下選手は色々とトスに試行錯誤を重ねた結果現在の形が出来てた。東レのセッター中道選手においても同様なことがいえる。いくら木村が天才肌で、器用な選手だとはいっても、その実力を発揮出来るか否かはセッター次第という印象が強い。
現在、日本代表は竹下選手が抜けて正セッター不在である。今後誰が正セッターになるかも分からない現状だ。だから、木村選手にとっては、セッター依存のスタイルを確立する時期だとも言える。一度引退を考えた選手に、プレースタイルに関して新たな課題を付するのは酷だろうか?
=====================
【木村沙織選手のプロフィール】
生年月日:1986年8月19日
出身:埼玉県
身長:184cm
経歴:成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)〜東レ・アローズ〜ワクフバンク・スポーツクラブ(トルコ)
<主なタイトル>
日本代表
アテネ五輪出場:5位
北京五輪出場:5位
ロンドン五輪出場:銅メダル
東レアローズ
国内Vプレミアリーグ:優勝 2007〜2008年シーズン、2008〜2009年シーズン
2009〜2010年シーズン、2011〜2012年シーズン
ワクフバンク・スポーツクラブ
チャンピオンズリーグ:優勝
トルコ1部リーグ:優勝(2012〜2013年シーズン)
トルコカップ:優勝
【ガラタサライ・ダイキンについて】
ガラタサライ・ダイキンは1905年に創設の総合スポーツクラブ「ガラタサライ・スポール・クリュビュ」傘下の女子バレーボールチームです。
ガラタサライ・スポル・クリュビュは、男子サッカーをはじめ、男女バレーボール、男女バスケットボールのみならず、車椅子バスケットボール、陸上競技、馬術
、柔道、ボート競技、セーリング、水泳、男女水球、テニス、ハンドボール、モータースポーツなどさまざまな競技を行う総合スポーツクラブです。
2012年にガラタサライ女子バレーボールチームはダイキントルコ社とスポンサー契約を締結し、チーム名が「ガラタサライ・ダイキン」となりました。
<沿革・成績>
1922年 ガラタサライ女子バレーボールチーム創設
1954年 リーグ発足以降、イスタンブルリーグで6度、トルコリーグで4度優勝
2009〜2010年シーズン CEVチャレンジカップ 3位
2011〜2012年シーズン CEV欧州チャンピオンズリーグ 2位
2012〜2013年シーズン トルコリーグ 3位 / トルコカップ 3位
CEV欧州チャンピオンズリーグ 4位
【ダイキントルコ社について】
トルコでは経済成長が続き、2012年の名目GDPランキングでは、世界第17 位、欧州第7位にランクされる経済規模に拡大中です。2023年の建国100周年には世界トップ10入りをめざしており、将来の経済規模の拡大に伴い空調市場も急速に拡大していくものと推定されます。当社は2011年にダイキントルコ社を設立し、外資系空調メーカーとしていち早く自前での製造・販売に参入、トルコ空調市場で本格的な事業展開を行なっています。国民的に関心の高いバレーボールチームのスポンサーとなることで、現地における知名度アップを図るとともに、トルコのスポーツ振興にささやかながら貢献していきたいと考えています。