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続く混乱、漁師に不満 日台漁業協定運用開始1カ月

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 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本と台湾の漁業権をめぐる取り決め(協定)が運用開始されて10日で1カ月。尖閣の領有権を主張する中国と台湾の連携を阻止するための“妥協の産物”だが、操業ルールはまとまらず混乱が続く。国際問題に振り回される沖縄の漁師は出漁を控えがちで、不満を募らせている。

 協定では、尖閣周辺の排他的経済水域(EEZ)を適用水域などとして台湾漁船の操業を認めた。マグロが回遊するこの水域には台湾漁船約120隻が押し寄せているとされる。長さ数十キロの高価なマグロはえ縄が絡まるトラブルを心配する沖縄側は「台湾漁船を避けて、漁に行かない」(県幹部)のが現状だ。

「苦しい状況だ。沖縄は日本でしょうか」。沖縄県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は、4〜6月というクロマグロ漁の最盛期に好漁場での操業が難しい現状を嘆く。今回の協定のほかに日中漁業協定や米軍の訓練水域もあり、沖縄の漁業者の漁場は窮屈だ。

 協定が発効した5月10日、水産庁は漁業取り締まり船を従来の5隻から10隻に倍増し、協定の対象水域外で違法操業する台湾漁船の取り締まりを強化。内閣府沖縄総合事務局によると、沖縄周辺水域で昨年1年間の台湾漁船の拿捕(だほ)数は3隻だったが、今年は発効から1カ月足らずで4隻に達した。

 水産庁は従来、日本と台湾の主張するEEZが重なっているため、違法操業する台湾漁船に警告などで対処してきたが、状況は一変。同局は「明確な線引きをした協定が発効したため拿捕した」と説明する。

 他方、石垣島周辺のマグロ水揚げ量は昨年の同時期より減少した。石垣島・八重山漁協の上原亀一組合長は「台湾漁船も拿捕され、互いに不幸な状況をいつまで続けるのか」と、早期のルールづくりの必要性を訴える。

 沖縄と台湾の漁業者は5月中旬、那覇市で操業ルール策定を話し合ったが物別れに。操業する漁船数の制限や操業方法の合意を目指し、双方は7月にも会合を開きたい意向だが、台湾側は日本の取り締まり強化に憤慨。一段の操業水域拡大を求める声が圧倒的だ。

 「以前は追い出されるだけだったのに、今はいきなり拿捕だ」。宜蘭県の蘇澳区漁会(漁協)の陳春生理事長は、沖縄からの漁船数削減の要求にも「マグロ漁の最盛期に無理だ」と譲らない。

 そもそも台湾漁民には、尖閣周辺は「伝統漁場」だとの考えが根強い。1972年に沖縄が日本に復帰し、それまで自由に操業できた台湾漁船への取り締まりが強まったとの“被害者意識”があり、沖縄側の思いとは大きな隔たりがある。

「ちょっと意外だった」。沖縄側の反発に接し、台湾の農業委員会漁業署(日本の水産庁に相当)幹部は「日本政府は沖縄漁民との意思疎通を十分果たさないまま、協定に調印したのではないか」と漏らした。

























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