少子化対策を検討してきた政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」(座長・佐藤博樹東大大学院教授)は28日の会合で提言をまとめ、森雅子少子化相に提出した。新婚世帯に住宅支援をする自治体や企業への国による税制優遇や、子どもの多い世帯への支援策拡大の検討などを盛り込んだ。
安倍晋三首相と全閣僚で構成する少子化社会対策会議に報告される。
・少子化対策の提言の骨子 新婚世帯の住宅支援として税制優遇などを検討
・産後間もない母子をケアするモデル事業を実施
・妊娠・出産、人生設計の情報を男性を含めて提供するための研究班を設置
・子どもが多い世帯の子育て費用負担の軽減に向け支援を強化
・思春期の健康相談や、妊娠、避妊に関する相談体制を強化
提言は少子化の進行を「社会経済の根幹を揺るがしかねない危機」と指摘。出生率の回復に向け、子育て支援や働き方改革に加え、結婚・妊娠・出産支援の「3本の矢」で推進するとした。
産後間もない母子を支援するため東京都世田谷区などで設置されている「産後ケアセンター」でモデル事業を実施するよう提唱。母子が日帰りや宿泊で休養したり、助産師から授乳方法の指導を受けることを想定している。一線を退いた助産師らが子供の世話に関する相談に応じたり、母親の話し相手や一緒に外出するなどの支援導入にも言及した。核家族化が進む中で出産後の母親が抱きやすい悩みや孤立感など心理的負担を和らげる狙いだ。
新婚夫婦への住宅支援を打ち出したのは、経済的な理由から結婚しない若者が増えているためだ。新婚世帯に割安に住宅を提供するなどの取り組みをしている地方自治体や企業に、税制面での優遇措置の検討を求めた。財源には「安心こども基金」の活用を提案した。
不妊に悩む夫婦への相談、指導にあたる「不妊専門相談センター」は現在、全国61自治体にある。だが「身近に気軽に利用しにくい」として、地域での妊娠、出産に関する相談・支援体制の強化が必要だと指摘した。