陽気が良くなり、車で遠出をする機会が増えてきた。思わぬ事故や故障で動けなくなったとき、助かるのが自動車保険に付帯しているロードサービスだ。レッカー車が無料で長距離をけん引したり、宿泊費や帰宅の交通費を支払ったりしてくれる。損害保険各社は顧客を取り込もうとサービス内容を拡充している。
■無制限
損保ジャパンは4月から、自動車保険「ワンステップ」の付帯サービスを強化した。走行不能になった場合、レッカー車が無料でけん引してくれる距離はこれまで30キロまでだったが、無制限に拡充した。
同社の専用デスクが連絡を受けると、現場までレッカー車を手配し、近くで受け入れ可能な修理工場に運ぶ。「夜間などは開いている工場が少ないこともあり、距離制限をなくしてほしいという強い要望に対応した」(自動車業務部)
サービスが付いているのを忘れて、自分でレッカー車を呼んでしまうこともある。以前はこうした場合、費用の支払い対象外だったが、改定で15万円を上限に支給することにした。約180キロまでのけん引をカバーできるという。脱輪したときなどのクレーン車による引き上げも新たにサービスに加えた。
同じグループ会社の日本興亜損害保険も4月から、無料のレッカーけん引サービスの距離を50キロから100キロに広げた。
■スマホで手助け
事故や故障で現場から車で帰れなくなった場合、乗車していた全員の1泊分の宿泊費や帰宅に必要な交通費を出してくれるのは、チューリッヒ保険の「スーパー自動車保険」だ。
帰宅できず、連れてきたペットをペットホテルなどに預ける際の費用も1泊分支払う。自宅近くのペットホテルに預けて出かけ、予定通りに引き取りに行けないときは、発生した延長料金を最大1万円補償する。
レッカー車によるけん引は、同社指定の修理工場なら距離は無制限。それ以外の工場は100キロまで無料だ。「行楽シーズンは200〜300キロの搬送も珍しくない」と担当者は話す。
一方、ソニー損害保険は、スマートフォン(多機能携帯電話)のアプリ(応用ソフト)の「トラブルナビ」を使って、事故や故障の際の対応を手助けしてくれる。
あらかじめ、アプリに保険の証券番号や車のナンバーなど必要事項を入力。いざというときは、スマホの画面にタッチするだけで、位置情報とともに、「エンジンがかからない」「パンクした」といったトラブルの内容が担当デスクに届く。
現場で待っている間、サービススタッフがどこにいるかスマホの画面で確認できる。「気持ちが動転しているときに、安心して手続きできるように工夫した」(カーライフサービス課)という。