今月4日からTwitterを始めたとして話題を集めているダウンタウンの松本人志(49)。当初、本人かどうかわからない段階から注目を集めていたが、14日に放送された『リンカーン』(TBS系)のコーナーがきっかけだったことが判明。番組終了後には、「そんなこんなで番組企画でのツイッターだった」とつぶやき、本人だということが改めて確認された。
番組では、松本のほか、浜田雅功(50)宮迫博之(43)以外のリンカーンメンバーも同時にTwitterを開始し、フォロワー数を競い合うことに。結果、ダントツの人気だったのは、わずか1週間39ツイートで50万人以上のフォロワーを獲得した松本。番組放送後には、さらに20万人程度のフォロワーを増やし、現在(14日午後2時)のところ73万54人になっている。
これまで、ブログなどもやらずにネット世界とは一定の距離を置いていた松本だけに、Twitterを始めたとなれば、ネットユーザーたちが注目するのも納得。しかし、そのあまりにも高い注目度のためか、すでに(番組放送前から)松本のTwitterは、ネット上で何度も話題に上がり、「つまらない」といった意見が交わされていた。
たとえば、Twitter を始めた翌日、松本は「パイプ椅子に【はさむな注意】のシールを発見… はさむな!を注意するのか? はさめってことか? 【はさむぞ注意】じゃないか? いや 椅子が攻撃してきそうやな… やっぱ【はさまらないよう注意】やろ長いけど」と投稿。8日には、「歯医者行った。 歯が汚い汚いやったから。 綺麗綺麗なった。 歯医者歯医者」などとつぶやき、ネット上では、「面白キャラ気取りの大学生レベル」「尋常じゃなくつまらない」といった声が上がった。さらには、「本当に本人か? つまらなすぎるぞ」とまで言われる始末。ネット上には、松本のつぶやきに対しての厳しい反応が散見した。
他人との絡みや明確なツッコミがあってこそ生きるのが松本の笑いだと指摘するネットユーザーたち。相互コミュニケーションツールといっても、基本的には1人で完全に自己完結しなければならないTwitterは松本には向いていないのではないかと主張する。とはいえ、そもそもTwitterにそこまで笑いを求める必要があるのかは疑問。ただのつぶやきと考えれば、別に面白い必要はない。特に有名人のTwitterとなれば、その本人の心の内が少し垣間見えるというだけでもファンにとっては興味深いものなのではないだろうか。
たとえば、日本一のフォロワー数を誇る有吉弘行(38)のTwitterは、恒例となっている「淫夢希望」(有吉が、寝る前にどんな夢を見たいかをつぶやく)のように、誰に向けるわけでもない心の内をツイートする。ときおり、ユーザーとのやり取りもするが、彼は面倒臭いフォロワーを見つけると問答無用でブロックする。双方向のコミュニケーションツールとはいえ、ただのつぶやきなのだから、勝手につぶやかせてくれというわけだ。そんな彼の一貫したクールな姿勢が、多くのネットユーザーに受け入れられているのだろう。もちろん、有吉の芸風の特徴として上げられる、批評センス抜群の「あだ名」「毒舌」「コメント力」といった面が、短文投稿というTwitterの特性とマッチしているのは言うまでもない。
ネット上での松本のTwitterが面白くないという声は、単純に高い期待値を示しているだけともいえる。しかし、それでもやはり「あの松本人志なんだから面白いに決まっている」という気持ちはよくわかる。ファンの中には、「松っちゃんがつまんないことを言うはずない」と思っている人も多いことだろう。だが、媒体が変われば面白さの質や伝わり方も違ってくる。ネット上にはネット特有の面白さというものがあるものだ。これまで、ネットと関わりを持たなかった松本に、急にそこで面白いことをしろというのは酷な話ともいえる。それでもなお彼は面白いことを言おうとするだろうが、不慣れさは否めない。その結果が前記したようなチグハグな投稿となって現れている。
番組の企画で始めたという松本のTwitterが、今後どのような展開を見せるかはわからない。それでも、70万人以上というフォロワー数は、彼にとって大きな武器だ。きっとさらにフォロワーは増えるだろうし、秋に公開を控える新作映画の宣伝などでも大きな効果を発揮するだろう。
最近では、映画でしか話題に上がることのなかった松本だが、ネット特有のゲリラ的な方法(Twitter上での大喜利大会など)や密なファンとの交流などをすればたちまち注目を集めるに違いない。そして、積極的に行動することで、ネットの面白さというものも自ずと理解してくるはずだ。そうなれば、自分の中に新しい一面を見つけることができるかもしれない。ネットと繋がることで、新しい松本人志が生まれる可能性は十分にある。そのためにも、まずは、Twitter上で、芸人・松本人志を忘れ、父親・松本人志の顔を覗かせてもらいたい。
テキストに慣れたネットユーザーたちというのは、コメントの底意を見抜くことに優れている。そんな彼らだからこそ、単にウケを狙ったものを毛嫌いするのだ。だが逆に、ぐうの音も出ないような“うまいこと”や、絶妙な“切り替えし”といったものに対して彼らは手放しで賞賛を贈る。ネットに慣れていない人間には、なかなか難しいことだが、家族を愛する気持ちや娘との幸福な時間には誰も文句は言えないものだ。松本には、まずそんな心の内をツイートしてもらいたい。