菅官房長官は、24日午前の記者会見で、アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件で死亡が確認された9人の日本人について、早ければ25日の朝、政府専用機で帰国するとしたうえで、到着後、氏名を公表する考えを示しました。
この中で菅官房長官は、今回の事件で合わせて9人の日本人の死亡が確認されたことに関連して、「新たに確認された2人の遺体を運ぶ手続きなどを行っており、アルジェリアに派遣した政府専用機の出発は早くても日本時間のきょう午後2時ごろになる予定だ。経由地の状況にもよるが、羽田空港への到着は早くてあす午前7時ごろになる。その後、政府の対策本部を開催し、特使として派遣した鈴木外務副大臣から報告を受けたい」と述べました。
そのうえで菅官房長官は、「政府としては家族の気持ちを踏まえた対応を前提に会社側と調整をしてきた。その結果、あす政府専用機が到着して、遺体が帰国したあと、私の定例記者会見で政府の責任の下に氏名を公表したい」と述べ、死亡が確認された9人の氏名を公表する考えを示しました。また、菅官房長官は、安否が確認されていない日本人1人について、「現地の遺体安置所には多数の遺体があり、慎重に確認作業を行っている。確認にはかなり長い時間がかかるだろうと言われている。安倍総理大臣からは、残された1人の安否の確認に政府として全力で取り組むよう指示があった」と述べました。
日揮によれば、犠牲者の氏名を公表することは家族にストレスがかかることらしい。また、政府としては家族の気持ちを踏まえた対応を前提に会社側と調整をしてきたらしい。こうしたことはプライバシーの保護にはあたらないだろう。事件や事故で犠牲になった人間の氏名を公表すると遺族に不都合な事態が生じるとして、氏名の公表がなかったのは今回が初めてではないだろうか。日本だけでなく世界でである。
確かに犠牲者の氏名を控える例はある。たとえばスパイであったり、潜入捜査員であったり、である。それは国家機密ないしは機密事項であり、氏名の公表が機密の公表となり、国家ないしは組織にとって不都合な事態が生じかねないからである。今回、犠牲者の氏名の公表を控えた日揮という会社は、どうした事情が背景にあるのだろうか? 氏名の公表を伏せたかったのは、日揮の最高顧問の死亡だけである、その事実は会社の株価などに影響するという意見もあり、ただ、それだけだと露骨なので家族を持ち出したという見方もある。
氏名の公表がすなわち家族のストレスになるわけがない。ストレスがあるとすれば、コメントなどを求めにマスコミが押しかけたような場合のみだろう。しかし、これが公表を控える理由にはならないだろう。 国民には知る権利がある。今回の事件でが国が動いた。何のために動いたのか、その詳細を政府は国民に伝える義務があり、国民は知る権利がある。事件によって犠牲になった者と生存者の氏名の公表は、伝える側の政府が行うのは当たり前のことだろう。政府は被害者の私的機関ではないはずだから・・・!
菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、アルジェリア人質事件の生存者7人と犠牲者9人の遺体を乗せた政府専用機が早ければ25日午前7時ごろ、日本に到着するとの見通しを示した。犠牲者の氏名は遺体が帰国した後に公表する方針を明らかにした。残る1人の安否不明者については、日本時間24日午後4時半から、現地で確認作業を進める。
安倍晋三首相は同日午前、新たに日本人2人の死亡が確認されたことについて「大変残念だ」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。首相は同日、菅長官に「残り1人の安否確認に全力を挙げて取り組むように」と指示した。
菅長官は犠牲者の氏名に関し「(遺体が)帰国した後、私の定例記者会見で政府の責任で公表したい」と表明した。これまで公表を控えてきた理由については「ご家族の心情を第一に考えた」と説明した。生存者の氏名は公表しない方針だ。
残る1人の安否不明者の確認作業については「アルジェの遺体安置所には多数の遺体があり、損傷が激しいものが含まれている。慎重に確認作業をしている」と述べ、確認に時間がかかる可能性を示した。
首相特使としてアルジェリアを訪問した鈴木俊一外務副大臣は政府専用機で、生存者や犠牲者の遺体とともに、日本時間24日午後2時に現地を出発する予定。帰国後、首相にアルジェリアのセラル首相との会談や現地情勢について報告する。城内実外務政務官は現地にとどまり、安否不明者の確認作業にあたる。