埼玉県の教職員ら140人が条例の改正で退職金が減額される前に早期退職することが明らかになった問題で、NHKが全国の都道府県に取材した結果、合わせて7つの県で450人余りの教職員や警察官らが早期退職をしたり希望していたりすることが分かりました。
この問題は民間企業との退職金の格差を是正するため、国が去年11月、国家公務員の退職金を引き下げる法律を成立させ、全国の都道府県に同様に条例などを改正するよう通知したことから、埼玉県では来月1日から平均で150万円退職金が引き下げられる前に、今月いっぱいで教職員110人を含む140人が早期退職することが明らかになったものです。
この問題でNHKが全国の都道府県に取材した結果、合わせて7つの県で450人余りの教職員や警察官らが早期退職をしたり希望していたりすることが分かりました。このうち、徳島県では今月1日から退職金が、平均でおよそ140万円減額されることになり、先月末で教員7人を含む19人が早期退職しました。なかには中学校の教頭もいて、この学校では3学期の間、教頭が不在の状態が続くということです。徳島県は臨時の教員を採用したりして対応したということです。また、佐賀県でも教職員36人を含む52人が早期退職をしたほか、3月に条例が施行される高知県では、これまでに職員10人以上から早期退職をしたいという問い合わせが来ているほか教職員2人が早期退職を希望しています。今年度中に施行予定の福岡県の北九州市でも教職員3人が早期退職を希望しています。一方、警察官の早期退職の希望者も相次いでいます。愛知県ではことし3月の条例施行を前に、22日までに142人の警察官と職員が早期退職の意向を示していることが分かりました。警察署の署長級の幹部も含まれているということで、業務に支障が出ないよう不定期異動を行うなどして対応することにしています。また、兵庫県でも警察官およそ90人が早期退職の意向を示しているということです。
埼玉県教育委員会によりますと、勤続35年以上、月給41万円の標準的な教職員の場合、減額される前の1月末に早期退職した場合は、退職金は月給の59.28か月分で2430万円となります。一方、早期退職せず3月末に定年退職した場合、3.42か月分減額され月給の55.86月分となり退職金は2290万円となります。このため、早期退職した方が退職金が140万円多くなり、退職して失った2月と3月の2か月分の給与合わせて82万円を差し引いても58万円多くなります。
行政学が専門で、国家公務員の退職金の在り方に関する政府の有識者会議の座長を務めた学習院大学法学部の森田朗教授は「民間に比べ、国家公務員が退職金が高いという格差をなくすため、段階的に退職金を引き下げていくのはやむをえないが、政治的に急ぎすぎて、下げ方に関しての議論が、不十分だったと思う。公務員にも、それぞれ自分の生活があるわけで、働いたほうが損をするのは、やり方に問題がある。今後も退職金は段階的に引き下げられると思われ、同じような事態は起こりうるので、何らかの措置を講じる必要があると思う」と話しています。
退職金減額の条例改正の施工を4月からだとすれば、今回の事態は起きなかったはずである。今まで地方自治体は無駄遣いをし過ぎて、公務員の退職金減額をこれ幸いと世間にいい顔して見せようと政治的に急ぎすぎた結果、下げ方に関しての議論を十分に行わなかった。批判されるべきは政治家たちである。しかし、教育行政のトップはお角違いの見解を表明している。
下村博文文部科学相は24日の記者会見で、全国の公立学校教員が定年を待たず、退職手当減額前の年度途中に「駆け込み退職」をしている問題について、「決して許されざる(ことだ)」と批判し、文科省として各教育委員会などへの指導に乗り出す考えを示した。
同相は「(特に)クラス担任ら責任ある立場の先生方は、最後まで誇りを持って仕事を全うしてほしい」と述べた。