兵庫県警察本部の警察官が、覚醒剤事件の捜査を巡り、供述調書をねつ造したとして逮捕された事件で、警察官は逮捕前の警察の調べに対し、「供述調書でうその証言をさせた男らに捜査車両に関する情報を教えたことがある」と情報の漏えいを認める供述をしていた。
兵庫県警察本部社警察署の警部補、常深洋藏容疑者(52)は覚醒剤事件の捜査を巡り、知り合いの男にうその目撃証言をさせ、供述調書をねつ造したとして、同僚の警察官や証言をした男らとともに虚偽有印公文書作成の疑いで逮捕されました。
警察は14日、常深警部補ら逮捕された4人の身柄を神戸地方検察庁に送りました。
これまでの調べで常深警部補は、うその証言をさせた男らから「周辺を監視するような車があるので調べてほしい」と求められ、情報を漏らした疑いがあることが分かっていますが、逮捕前の任意の調べで、「捜査車両に関する情報を漏らしたことがある」と情報の漏えいを認める供述をしていたことが新たに分かりました。
また常深警部補は、神戸市内の飲食店や風俗店で男らから接待を受けたり、現金を受け取ったりした疑いもあるということで、警察は事実関係を調べることにしています。
兵庫県警警部補らが覚せい剤事件の捜査に絡み、虚偽の供述調書を作成したとされる事件で、県警捜査2課は13日までに、虚偽有印公文書作成の疑いで、社署地域課警部補の常深(つねみ)洋蔵容疑者(52)ら4人を逮捕。同日に同署など関係先を捜索した。一方、常深容疑者は虚偽調書作成に協力した知人に捜査情報を漏らしていたとみられることが同日、捜査関係者への取材で分かった。県警は地方公務員法(守秘義務)違反容疑でも調べを進める。
ほかに逮捕されたのは同署刑事課巡査部長の松本和也容疑者(33)と不動産仲介業の後藤新平容疑者(45)、建設業の洪幸大容疑者(42)。常深、松本容疑者は容疑を認め、後藤容疑者も一部を認めているが、洪容疑者は黙秘している。
捜査関係者などによると、後藤容疑者は2011年夏ごろ、神戸・新開地で無許可スロット店を経営。店の周辺で見掛けた不審車の車籍照会を常深容疑者らに依頼し、車は県警の捜査車両で、別の風俗店に対する捜査を行っているなどの情報が後藤容疑者に伝わったという。
一方、供述調書の偽造事件は常深容疑者が主導していたとみられることも判明。40代の男が覚せい剤を所持しているのを目撃した、とする供述調書を作成する際、後藤容疑者が目撃時期を「11年3月以降は見ていない」としたのに、常深容疑者が「11年10月に見た」と変更したとみられる。
常深容疑者は調書を偽造し、事件化をしようとした疑いがあるが、「令状請求に使うつもりはなかった」と供述。家宅捜索は行われなかった。
兵庫県警察本部の警察官らは調書を偽造し、事件化をしようとした疑いがあるそうです。令状請求に使うつもりはなかったと供述し、実際には家宅捜索は行われれてもいません。しかし、だからといって、そうした意思がなかったとは言えません。そして今回の事件は、警察が組織として、簡単に令状請求ができ、家宅捜索を行えるということを証明しました。これに加えて、パソコンの遠隔操作が容易に行えることを証明した事件も起こっています。この方法と令状請求を警察が悪意で用いたとしたらどうなるでしょう。
戦前は実に単純な方法で上記のことが行われていました。令状請求すらなかった。その方法とは思想犯として捕まえたい人間の家に刑事が行き、その人の家の窓から社会主義に関係する本を投げ入れる。その後、刑事が立ち入るといったものです。こうした事が、今では巧妙に行えるようになっているわけです。
■単純所持・単純所持禁止
単純所持・単純所持禁止とは理由を問わず、持っているだけで罪になることです。「単純所持」 とは、ある物品を 「持っているだけ」 のこと、「単純所持禁止」 とは、目的や手段を一切問わず持っているだけで罪、違法になることを指します。「持っている」 とは 「所有している」(物品を事実上支配している状態) のが違法なのはもちろん、それと知って忘れ物などの拾得物を警察に届けるために一時的に手に持つだけ、手に触れるだけでも、原則的には違法です (発見した場合、絶対に手を触れずに警察に通報すべき物品となります)。
現行法で触法物 (法律に触れる物) と指定されているものの 「所持」 がその対象となりますが、製造した瞬間に所持となるため、「単純製造」 も合わせて禁止される場合が大半です (単純製造のみ違法という場合もあります)。
もっぱら 「違法である」 物品のうち、単純所持まで禁じられる場合は、その物品が極めて危険性の高いもの、あるいは犯罪目的以外には使えないものなどがその対象となっています。日本の場合は「拳銃」や「麻薬」がこれに相当します。
「偽造通貨」なども限りなくそれに近い扱いですが、自分で偽造した、あるいはどこからか手に入れた偽造通貨を偽造だと知っていながら使おうとした(行使未遂/ 行使目的所持) 場合にのみ、起訴されたり有罪となるようです。自動販売機でお釣りとして偽造硬貨が出てきた場合、それを手に持っただけでは違法にはなりません。
マンガを手に持っただけで犯罪者? 創作物の単純所持禁止とはうち同人の世界やオタクの界隈でしばしば話題になる。「単純所持禁止」と云えば、児童ポルノ法 (児ポ法)における児童ポルノということになりますが、現実の児童の性的虐待による成果物、児童虐待の記録である画像や動画をどう扱うかが、1998年の同法の法案段階からの課題の1つとなっています。途中2度の改正がされていますが、いずれも 「単純所持」 の禁止まではうたわれておらず、逮捕も処罰も現時点ではされません。
なお単純製造 (児童の虐待を撮影する)、およびそれによって作られた画像や動画を公表したり配布、販売することは、上記「児ポ法」成立施行によって1999年より禁止となっていますが、そもそも同法施行以前の段階でも、児童福祉法 (34条1項6号)や青少年健全育成条例(淫行規定/ 淫行条例)、わいせつ物の取締法(刑法第175条)などですでに違法となっていました。その後施行された「児童虐待防止法」(第2条2項の定義による)でも、改めて禁止となっています。
例えば児童がデジカメで自分の裸を撮影したら、アメリカでは児童ポルノ製造と所持で逮捕です。2000年代に入り、児童の性的虐待問題が深刻な欧米では、「児童ポルノ」という呼称を改め、より直接的な児童虐待画像・動画と呼ぶようになってきています(欧米では合法である、単なるヌードやソフトエロチカと区別するため)。それに伴い先進国の一部では、それら「児童虐待画像・動画」の「単純所持」を禁じる動きもありますが、供給する側の取り締まりすら徹底できていない中で、末端のみ取り締まることへの問題提起なども起こっているのが現状です。
日本の場合は、そもそも児童ポルノの定義が欧米に比べあやふやで広範となっており(成年が児童の演技をする準児童ポルノや、アニメやマンガまで含める子どもポルノ、漫画児童ポルノといった、さらにあやふやで現実の児童と何の関係もない創作物などにも範囲を拡大)、慎重な対応を求める声がネットなどを中心に巻き起こっている状況です。
また拳銃や麻薬のように物理的な実体が存在する物品(有体物)と違い、現在はデジタルデータで流通する画像や動画(無体物 を、同じように規制するのは非現実的で無理ではないかという主張もあります。拳銃や麻薬は受け渡しも大変ですが、デジタルデータの写真や動画はメールで簡単にやり取りできますし、ネットでそれを見ただけ、どこかのリンクをクリックしただけでも、原理上それらのデータはパソコンに記録され、「所持」の状態になります。
メールで送りつけられたくらいでは問題なく、本人が意図的に集めたり、数が大量でなければ捕まえたりしない、という意見もあります。しかし「学生」「子供服」 といった何の問題もないキーワードを使用して画像検索を行い、それっぽい画像が検索サイトに表示されたらどうなるのか、あるいは大量という数量的基準にしても、今はDVDやブルーレイディスクなら、その1枚に画像なら数万から数十万枚が簡単に収まる時代です。「DVDを1枚所持」と、「画像を5万枚所持」では印象が随分違いますが、どちらも同じDVD1枚だったりもします。
現実にアメリカでは、児童ポルノがダウンロードできない偽リンクに貼られた小さいサムネイル画像がパソコンに記録されていただけで警察に逮捕されるという事件が起こっています(2008年)。また2010年4月には、南米ベネズエラに旅行中、問題のない成人向け映画のDVDを1枚購入してアメリカへ帰国しようとした男性が児童ポルノ所持でプエルトリコで逮捕され、その後そのポルノ映画に出演していた見た目が若いアメリカ人女性が偶然事件を知り名乗りでて現地まで駆けつけ裁判に出席、自ら成年であることを証明して、かろうじて男性が禁固20年の刑を免れたなどという、まるで映画のような事件も実際に起こっています。
性的好奇心を満たす目的での所持だけ禁止…? 日本では、児童ポルノ法改正について、2008年4月18日、政府与党(自民・公明両党)は、個人が趣味で集める「単純所持の禁止」の方針を決定し、違反した場合には懲役刑を科すとの方針を固めたようです。ただし本人が意図せず所持に至るケース、例えば「パソコンのメールで勝手に送りつけられた」「ネットでそれとわからないリンクを踏んだ結果、それが表示された(パソコンのキャッシュに蓄積された)」場合などを考え、「性的好奇心を満たす目的での所持」のみ罰するよう確認したそうです。しかし「性的好奇心を満たす目的での所持」か、そうでないかを、どうやって判別、立証するんでしょうか。本当に不思議です。それにしても、第二条第三項による児童ポルノ(いわゆる 三号ポルノ)の定義が「衣服の全部又は一部を脱いだ児童の姿態であって性的好奇心をそそるものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」ですから、要するに、「性的好奇心をそそるもの」を、「性的好奇心を満たす目的」で所持したら逮捕、懲役となります。
要点だけを摘出すると、またものすごい法律ですね。子供の入浴シーンや水着の写真を見て、可愛いと思うか、いやらしいと思うか、場合によってはアートだと思うか、あるいは何とも思わないか、人によって感じ方は様々ですが、裁判員制度ももうすぐ始まりますし、いずれ一部の人が 「気持ち悪い」と感じたら、被害者がいなくてもそれが罪になる時代がやってくるんでしょうか。現実の被害者など存在しえないマンガやアニメに対して生じる「性的好奇心」は、人を犯罪者として告発し牢屋につなぐほどの「悪徳」なんでしょうか。
児童虐待の観点からすると、子供の入浴シーンが性的好奇心をそそるものであり、性的好奇心を満たす目的だとするなら、父親が幼い娘を、母親が幼い息子を、あるいは両親が子どもと一緒に風呂に入ることも、また、自らの性的好奇心を満たす目的だとしなければならないでしょう。福祉課の立ち入りがあって当然とされるべきはずです。