深刻な大気汚染が続く中国の北京では、汚染の原因物質の濃度が高まり、気象台は13日、大気汚染に関する警報を初めて最高レベルに引き上げ、外出や車の利用を控えるよう呼びかけています。
中国では今月10日以降、東部や内陸部を中心に、車の排気ガスなどに含まれ大気汚染の原因物質とされる「PM2.5」という極めて小さな粒子の濃度が高い状態が続いています。
13日の北京市内は、多くの車が昼間でもライトをつけて走行し、高層ビルが白くかすんで、よく見えないほどで、中国のメディアによりますと、各地の病院では呼吸器系の疾患を訴える患者が増えているということです。このため、北京の気象台は、視界が2キロ以下に制限されるほど大気汚染が深刻になっているとして、汚染に関する警報を初めて最高レベルに引き上げました。
北京市の環境当局は、建設工事の中止や公用車の利用を減らすなどの緊急措置を取っています。
気象台は「あすからあさってまでは、大気が拡散しにくく、広い範囲で見通しの悪い状態が続く」として、健康への影響を減らすため、できるだけ外出を控え、外出する際にはマスクを着用すること、そして車の利用を控えることなどを呼びかけています。
中国の北京が13日まで3日連続で有害物質を含む濃霧に覆われ、当局は異例の警報を出して住民に外出を控えるよう呼びかけている。
大気汚染指数は過去最悪水準の「500」を突破し、当局では測り切れないほどのレベルに到達。市内の交通量は減り、濃霧のため視界がかすんで太陽はほとんど見えなくなっている。当局は住民に対して屋外の活動を控え、外出を避けるよう呼びかけた。
国営メディアによると、呼吸器系の症状を訴える人が激増し、マスクの販売も急増している。北京大学の専門家は新華社通信に対し、「風のない日が続いたことから汚染物質が徐々にたまり、大気汚染が一層悪化した」と解説している。
北京の大気汚染は2008年の五輪開催を機に改善されたと当局は説明してきた。しかし住民によれば、実際には状況は悪化しており、昨年は北京の空港で大気汚染のため約700便が欠航となったこともある。
欧州委員会の2011年の統計によると、中国の二酸化炭素の排出量は97億トンに上る。米国は54億2000万トン。
国営メディアによると、大気汚染による濃霧は、再び風が吹き始める16日まで続く見通し。