麻生太郎財務相(副総理)は、15日に首相官邸で開く「国と地方の協議の場」で、地方公務員の給与削減を求める。国家公務員の給与は今年度から2年間、平均7・8%引き下げており、地方公務員にも同程度の「痛み」を強いる考えだ。
国家公務員を対象に昨年2月に成立した給与削減法の付則では、「自主的かつ適切に対応されるものとする」として自治体の給与削減も促した。ただ、ほとんどの自治体は減額しておらず、財務省の調査では地方公務員の平均給与が国家公務員を約7%上回る見通しとなっている。
財務省は、地方公務員給与のために国が支払う今年度分の人件費のうち、国家公務員並みに給与を減らす前提で6千億円を減らす方向で総務省と調整。首長らが出席する協議の場で、麻生氏が地方側に理解を求めることにした。
公務員の給与削減は、消費増税で負担を強いる国民の理解を得るため身を削る狙いがある。国家公務員の給与を減らして浮いた予算は、復興財源に充てられる。自民党は衆院選公約で「公務員総人件費を国・地方合わせて2兆円削減」と明記。麻生氏は昨年12月の就任直後の記者会見で、「地方の公務員の給与は下げることになっていたのではないか」と不満を表明していた。
ただ、地方側は「地方公務員の給与は地方で決めるのが筋」(全国市長会会長の森民夫・新潟県長岡市長)などと反発している。
地方公務員給与の財源には、国が地方に配る地方交付税が充てられている。財務省は13年度予算編成で人件費を削減して交付税の配分を抑制したい意向で、自民党も衆院選の政権公約で「公務員総人件費を国・地方合わせて年間2兆円削減する」と明記した。
国家公務員の給与は、復興財源を賄うため12年度から2年間の臨時措置として平均7.8%引き下げられているため、財務省は同程度の削減を地方に求める方針だ。