長崎大は来年度、東京電力福島第一原発事故で一時的に全村避難を余儀なくされた福島県川内村に帰村支援の活動拠点(サテライト)を設ける。保健師や看護師を交代で常駐させ、健康相談などを通じて放射線の影響に対する不安を解消し、帰村を支援する。
11日、片峰茂学長らが発表した。川内村は福島第一原発の30キロ圏内にあり、2011年3月16日から全村避難した。政府の事故収束宣言を受けて昨年1月31日に帰村を宣言し、住民の帰還を進めている。
サテライトには放射線に詳しい医師や看護師らが常駐する見通し。長崎大には原爆のほか、原発事故が起きたチェルノブイリなどで調査したデータがある。同大と川内村は3月までに協定を結び、4月にも拠点を開設する。同大の原爆後障害医療研究施設の教員や医学部の学生らもサテライトを拠点に短期の活動をするほか、村の保健担当者が長崎大で研修を受けることも検討されている。
片峰学長は「被災者がふるさとで生活できるようになることが、復興のひとつの目安だと考えている。科学的データをもとに帰村を促し、復興のモデルケースを作ることに大学として貢献したい」と話している。