トンネルの天井板崩落事故で通行止めが続いていた山梨県の中央自動車道は、29日午後、下り線のトンネルと周辺を対面通行にして通行が再開されましたが、年末の帰省ラッシュと重なり現場付近では渋滞が続いています。
山梨県の中央自動車道は今月2日に笹子トンネルの上り線で起きたコンクリート製の天井板の崩落事故で、現場付近で通行止めが続いていましたが、下り線のトンネルとその周辺を対面通行する工事を進め、29日午後1時に27日ぶりに通行が再開されました。片側1車線となる対面通行の区間はおよそ8キロで、時速40キロから50キロの速度規制が行われています。
29日は年末年始をふるさとや行楽地などで過ごす人たちの帰省ラッシュと重なり、現場付近では対面通行の区間を中心に下りで渋滞が続いています。
中日本高速道路は、Uターンのピークの来月2日には現場付近の上りで最大45キロなど、年末年始の期間中、対面通行の区間を先頭に上下とも例年よりさらに渋滞すると予測しています。このため、来月1日の午前0時からは、う回路として使える中央自動車道富士吉田線の大月インターチェンジと河口湖インターチェンジの間を上下線とも無料にして混雑を抑えたいとしています。
国道20号線は混雑解消
中央自動車道の通行再開後、事故以降う回路として使われている国道20号線では目立った渋滞はみられず、スムーズに車が流れています。中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落した事故以降、う回路の国道20号線は交通量が例年の同じ時期の3倍に増えて混雑が続いていました。国土交通省甲府河川国道事務所によりますと、中央自動車道が通行できるようになったあとは目立った渋滞はなく、車はスムーズに流れているということです。家族3人で神奈川県から笛吹市の石和温泉に行くという42歳の男性は「中央自動車道は混むと思って国道にしました。国道は思ったより混んでいなくてよかったです」と話していました。
温泉街は観光客回復に期待
中央自動車道のトンネルで起きた天井板崩落事故のあと、宿泊客のキャンセルが相次いでいた山梨県笛吹市の石和温泉では、通行の再開で年末年始には客足が戻るのではないかと期待しています。笛吹市の石和温泉は、中央自動車道の一宮御坂インターチェンジから車で15分ほどのところにある温泉地で、首都圏からの観光客が多く訪れます。石和温泉旅館協同組合によりますと、事故のあと、宿泊の予約が2割ほどキャンセルになったということです。29日は通行再開を受け、早速、中央自動車道を使って訪れた観光客が温泉街を散策していました。群馬県太田市から妻と2人で訪れた52歳の男性は「少し混雑していましたが、スムーズに来られました。国道を使うと時間がかかるので、高速道路が通れるのは助かります」と話していました。石和温泉旅館協同組合の山下安廣理事長は「年末年始に中央自動車道が通行できるようになり、ありがたいです。これをきっかけに石和温泉を訪れる観光客が増えることを期待しています」と話していました。