国土地理院は、土地の「標高」を正確に測る水準測量にGPS装置の活用を認めることを決めた。宅地の造成工事などで測量にかける時間や人件費の大幅な削減につながり、東日本大震災の被災地の復興工事でも役立つと期待されている。
宅地の造成工事や堤防などの公共工事で設計図面を作る際に必要な土地の「標高」の情報は、全国に1万4000か所ある「水準点」と呼ばれる地点から数十メートルずつ測量を繰り返す水準測量で出している。中には工事の現場が最寄りの水準点まで数十キロ離れ測量に10日以上かかる場合もあり、復興が急がれる東日本大震災の被災地などでは、時間の短縮と経費の削減が課題になっていた。
国土地理院は、市販されているGPS装置の精度が上がって誤差が数センチと高性能になっていることから、装置の活用を認めることを決めた。GPS装置を使うと、水準点から測量を繰り返さなくても数時間で標高を出すことができるようになるという。
国土地理院は、具体的な測量マニュアルを今年度中に整備する予定で、担当の後藤清専門調査官は、「測量にかける時間と人件費の大幅な削減につながり、東日本大震災の被災地の復旧工事に役立てるよう準備を急ぎたい」と話している。
環境省は、平成24年12月17日、平成23年度に国と地方公共団体が実施した水準測量などの結果をもとに、全国の地盤沈下地域の概況をまとめ公表した。
平成23年度に地盤沈下の現況を監視するための水準測量を実施した地域は、21都道県31地域で、その内、年間2cm以上の地盤沈下が発生した地域数は14地域(平成22年度:6地域)で、沈下した地域のうち、「地震による影響がある」が11地域、「地震による影響がない」が1地域、「地震による影響があるかないかわからない」が2地域であった。
平成23年度において全国で年間2cm以上沈下した1km2以上の地域の面積は、合計で5,919.5km2(平成22年度は5.5km2)であり、ほとんどが「地震による影響がある」に区分された地域であり、「地震による影響がない」又は「地震による影響があるかないかわからない」に区分された3地域については、年間2cm以上沈下した面積はいずれも1.0km2未満であった。
平成23年度において地域数及び面積ともに大きく増加したことについて、環境省では、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による影響と見ている。