中国ではインターネットなどを通じて「世界が滅びる」といういわゆる終末論が広がり、デマを流した疑いで各地で50人余りが警察に摘発される事態となっていて、中国政府は社会の不安定化につながりかねないとして警戒を強めている。
中国国営の新華社通信は17日、中国国内でインターネットなどを通じて「今月21日に世界が滅びる」といううわさが広がっており、デマを流した疑いで各地で合わせて50人余りが警察に摘発されたと伝えた。
中国のメディアによると、このうち青海省の西寧では、終末論にまつわるデマを流した疑いで、13日夜に非合法の宗教団体のメンバー37人が拘束されたほか、湖北省の武漢でも、デマを流し公共の秩序を乱したとして、女5人が拘束された。
全能神は中国が共産党という「赤い竜」に支配されているとして、共産党の「絶滅」に向けた決戦を呼びかけていたという。政府公認の中国基督教協会などによると、全能神は1990年代に河南省から広まった。イエス・キリストが生まれ変わった「閃電」(稲妻)という女性が「光臨」、人類に審判を下すと宣伝、「共産党を絶滅させ、全能神が治める国家を打ち立てよ」と呼びかけた。現在の信徒数は不明。国務院宗教事務局が「邪教」として取り締まりを強めていたという。
さらに河南省の信陽では、今月14日、小学校で男が刃物を振り回し児童20人以上にけがをさせる事件が起き、警察の調べによりますとこの男は終末論に影響されて事件を引き起こした。
中国では経済格差の拡大に伴い、人々の間で将来への不安が増しており、終末論にまつわるデマもインターネットなどを通じて急速に広がったとみられている。
中国政府は社会の不安定化につながりかねないとして神経をとがらせており、新華社通信など国営のメディアは、デマを信じず冷静に対応するよう呼びかけている。