今年に入って全国で起きた盗みや傷害などの刑法犯罪は、先月までにおよそ127万9千件と、去年の同じ時期より6.6%減、年間の件数は10年連続で減少する見通しとなった。
警察庁によると、ことし全国で起きた刑法犯罪は127万9045件で、去年の同じ時期よりおよそ9万件、率にして6.6%減った。これは、ピークだった平成14年と比べると、ほぼ半減した形である。また、このままのペースでいけば、年間の刑法犯罪の件数は平成15年以降、10年連続で減少する見通しとなる。
最も減ったのが盗みで96万件余りと、去年の同じ時期より8万4000件余り、率にして8%減少した。特に、駐車中の車の中を荒らす「車上狙い」や空き巣などが減っており、警察庁は警察の取締りや地域の防犯活動の強化が影響しているのではないかとみているらしい。一方で、暴行や傷害などのいわゆる粗暴犯はおよそ6万2000件と9%余り増え、中でも夫婦間や親族間での被害が増える傾向にある。
警察庁は長崎でのストーカー殺人事件などをきっかけに、ストーカーやドメスティックバイオレンスへの関心が高まったことや、警察が被害届を原則即時に受理するようになったことが背景にあるとみており、こうした犯罪への対策を重点的に進めることにしているという。
窃盗犯罪は8.1%減の約96万2千件。減少数は刑法犯全体で減った約9万件の94.2%を占めた。ひったくりは19.4%減の9337件で、東京都は自転車の前かごカバーの普及などで47.6%減の830件。昨年、通年でワーストだった大阪府は1599件(2.6%減)で今年も一番多い。
殺人などの凶悪犯罪も0.5%減の6416件だった。路上強盗は増えたが、金融機関などへの侵入強盗が減った。昨年、警察庁が防犯対策を要請した牛丼チェーン「すき家」を狙った強盗は25件で67.5%減った。
わいせつなどの風俗犯罪や、暴行などの粗暴犯罪は増えた。強制わいせつは7.4%増の6820件で、19歳までの被害者が52.0%を占めた。13歳未満の被害者が増加傾向という。
暴行や傷害などの粗暴犯は6万2066件で前年同期に比べ5309件(9.4%)増えたことが12日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。
既に昨年1年間の認知件数を上回っており、2006年以来、6年ぶりに増加に転じた。夫婦や親族間による事件が増えており、警察庁の担当者は「ストーカー事件などが社会的に注目を集め、家庭内の問題が警察に届けられるようになったのでは」と分析。
全国の刑法犯認知件数は127万9045件で、前年同期から8万9952件減少。年間の認知件数は10年連続で減り、過去最悪だった02年の半数以下となる見通し。