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自治会費と社協会費を一括で集めることは思想、信条の自由を侵害、公序良俗に反し無効ー大阪高裁(確定判決)

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 2007年8月24日の大阪高裁の確定判決です。まともの一言です。この判決を無視、曲解して横車を押す文書を末端に出しているのが、全国社会福祉協議会、日本赤十字社、中央共同募金会なのです。(まっとうさんのコメント震災で日本に寄付文化は根付くのか ニュースの深層)


「赤い羽根共同募金強制徴収自治会決議事件」大阪高判
 
事件番号 平成18(ネ)3446
事件名 決議無効等請求控訴事件
裁判年月日 平成19年8月24日
法廷名 大阪高等裁判所 第13民事部
裁判種別 判決
結果 取り消し
 
原審裁判所名 大津地方裁判所
原審事件番号 平成18(ワ)242号
原審裁判年月日 平成18年11月27日
 
判示事項 赤い羽根共同募金などを自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした決議は、思想信条の自由を侵害し、公序良俗に反し無効であるとされた事例
掲載(判例時報1992号)
 
 
主    文
1 原判決を取り消す。
2 平成18年3月26日開催の被控訴人の定期総会でなされた、自治会費を年6000円から年8000円に増額する旨の決議が無効であることを確認 する。
3 控訴人らの被控訴人に対する会費の支払債務は、年額6000円を超えて存在しないことを確認する。
4 訴訟費用は、第1、2審とも、被控訴人の負担とする。
 
 
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
主文と同旨
 
第2 事案の概要
1 本件は、地域自治会である被控訴人が平成18年3月26日開催の定期総会 において自治会費を年6000円から年8000円に増額する旨の決議(以下「本件決議Jという。)をしたことにつき、被控訴人の会員である控訴人らが、本件決議は控訴人らの思想及び良心の自由等を侵害し公序良俗に違反するなどと主張して、本件決議が無効であることの確認及び控訴人らの被控訴人に対する会費の支払債務が年6000円を超えて存在しないことの確認を求めた事案である。
原審は、控訴人らの本訴請求のうち、控訴人らの被控訴人に対する会費の支払債務が年6000円を超えて存在しないことの確認を求める部分については、本件決議が無効であることの確認を求める請求に当然に含まれるから、同請求と併せて確認を求める利益はないとして、この部分に係る訴えを却下し、本件決議の無効確認を求める部分については、理由がないとしてこれを棄却した。
2 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)控訴人らは、いずれも被控訴人の会員である。
(2)被控訴人は、滋賀県甲賀市甲南町希望ヶ丘○丁目から○丁目までの区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体であり、平成14年2月14日に地方自治法260条の2に規定する「地縁による団体」として認可を受け法人格を取得した。(甲1)
なお、平成18年ころの被控訴人の会員の世帯数は、対象区域内の1060 世帯の約88・6パーセントに当たる939世帯であった。
(3)被控訴人は、平成18年3月26日開催の定期総会において、自治会費を年6000円から年8000円に増額する旨の決議(本件決議)をした。
(4)本件決議による増額分の会費2000円は、被控訴人において他の自治会費6000円とは別に管理し、その全額を、希望ヶ丘小学校教育後援会、甲南中学校教育後援会赤い羽根共同募金会、甲賀市緑化推進委員会(緑の募金)、甲賀市社会福祉協議会、日本赤十字社及び滋賀県共同募金会(歳末助け合い運動)(以下、まとめて「本件各会」という。)への募金や寄付金に充て、翌年度には繰り越さないことが予定されていた。(甲4、弁論の全趣旨)
3 争点及びこれに対する当事者の主張
本件決議が無効であるか否か。
(控訴人ら)
(1)寄付をするか否かは、本来個人の自由な意思に委ねられるべきものであり、 その決定は、思想及び良心の自由として憲法19条により保障されているところ、本件決議は、本来任意に行われるべき寄付を、支払を義務づけられる会費とすることにより、強制するものであるから、控訴人らの思想及び良心の自由を侵害し違法である。
小学校及び中学校の教育後援会への寄付金を強制的に徴収することは、義務教育無償の原則に基づき寄付をしたくないという会員の思想の自由を侵害する。また、赤い羽根共同募金は社会福祉法116条により、緑の募金は緑の募金による森林整備等の推進に関する法律16条により、いずれも寄付者の自発的な協力を基礎とするものでなければならないと規定されている。社会福祉協議会や日本赤十字社は、特定の目的のために設立された被控訴人とは別個の組織であり、これに加入するか否かは個人の自由であり、これに対する会費や社費の支払は、これに加入した者が行うべきものであるところ、本件決議によりこれらへの会費や社費を徴収することは、思想信条上又は経済的な理由により加入しない者についてまで、加入したものとみなすこととなり、憲法21粂で保障された結社の自由、団体参加の自由を侵害する。
(2)また、地方自治法260条の2は、同条1項の認可を受けた「地縁による団体」は、「正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならない。」(7項)、「民主的な運営の下に、自主的に活動するものとし、構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。」(8項)と規定しているが、被控訴人は、本件決議後開かれた役員総務会において、会費増額に反対して会費の支払を拒否する会員には自治会離脱届の提出を求めることを決議している。また、被控訴人は、被控訴人に加入しない者に対し、配布物を自治会組織で配布しない、災害や葬儀等の時に被控訴人として一切協力しない、ごみステーションを利用できないなどの生活上の不利益が及ぶことを明言している。そうすると、本件決議は、寄付金の強制徴収に反対する会員に対し不当な差別的取扱いを行うものであり、上記法条に違反する。また、本件決議は、これに反対して自治会費を支払わない会員に対し、被控訴人からの退会を求めることにより、被控訴人の所在する地域に居住する自由をも侵害するものであり、居住の自由を保障した憲法22条1項に違反する。
(3)本件決議は、上記のように、人権の諸規定に違反するものであるから、公序良俗(民法90条)に違反し、無効である。
(被控訴人)
(l)本件各会ヘ寄付金を支出することは、被控訴人の目的の範囲内の行為であり、本件決議は有効である。したがって、控訴人らは、本件決議により決められた会費を負担する義務を負う。
(2)すなわち、被控訴人は、会員の総意で形成された自治運営を基盤とし、信頼と善意に満ち溢れた連帯の中から、より豊かな生活環境をつくりだすために相互に協力し、あわせて親睦をはかること、良好な地域社会の維持及び形成に資することを目的とする団体であるが、本件各会は、政治的・宗教的色彩はなく、各寄付金は、納付された会費から被控訴人の名において支払うものであるところ、寄付の性質上、地域社会や会員の福祉にかなうものであり、被控訴人の目的に沿うものといえる。
(3)本件決議は、控訴人らの思想信条の自由等を侵書するものではなく、公序良俗に違反するものではない。地方自治法260粂の2第8項にも違反しない。
募金や寄付金は、各自治会組織を通じて各世帯から募るのが全国的、一般的であるが、住民の高齢化傾向に伴い、寄付金の集金業務を担当する自治会役員の負担が過大となったため、住民の強い要望により、本件決議で、本件各会への寄付金を会費として徴収し、まとめて被控訴人から支出することとしたのである。本件各会への寄付金が、地域社会に役立っているといえることなどからすれば、このような寄付の方法は、全国的に見て珍しいことでもなく、合理性及び必要性が認められる。
本件決議は、被控訴人の規約に従い、1年間にわたり十分な議論の上で大多数の賛成を得て議決されたのであり、民主主義のルールに基づいたものである。
 
第3 争点に対する当裁判所の判断
1 事実経過
証拠(括弧内に掲記)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(1)被控訴人においては、歳入は入会金、会費、雑収入及び寄付金をもって充当し、会員は1世帯あたり1か月分として500円(年間6000円)の会費を納入するものとされ、会費の納入は会員の義務とされているが、納入しない会員に対する資格喪失等の明文の規定はない。(甲1、2、乙10)
(2)被控訴人においては、従前、本件各会からの募金や寄付金の協力要請を受けて、毎年、丁目単位を標準として設けられた班の班長及び概ね20世帯を標準として設けられた組の組長が各会員の世帯を訪問して集金し、本件各会に対して、これを支出していた。
平成17年度の募金及び寄付金の実績は、全918世帯の合計額は136 万3920円(本件各会ごとに13万9282円ないし22万9370円)、全918世帯中、募金及び寄付金の集金に応じた世帯は、本件各会ごとに約249世帯ないし約464世帯であり、集金に応じた世帯の中でも、本件各会によって募金及び寄付金の集金に応じたり応じなかったり区別する世帯もあった。また、集金の際、快くこれに応じる会員のある一方、協力を断る会員もおり、留守の会員も多かったため、集金に当たる班長や組長は負担に感じており、班長や組長への就任を避けるため、被控訴人を休会する会員もいた。(甲1、3、4、乙1)
(3)そこで、被控訴人の執行部は、班長や組長の負担を解消するため、平成17年3月20日開催の定期総会において、本件決議と同様、本件各会に対する募金及び寄付金を会費として徴収する議案を提出したが、賛成と反対の意見が対立して収拾できなくなり、継続審議とされた。(甲4、乙1)
そして、被控訴人の平成18年3月26日開催の定期総会において、代議員117名(組単位で選任され、原則として8世帯会員分で1名)のうち、 87名が出席し(委任状による出席者20名を含む。)、賛成多数により本件決議がなされたが、反対者9名、保留者5名程度がいた。(甲1、3)
(4)同年4月9日被控訴人の役員総務会(役員及び組長により構成される総会に次ぐ議決機関)が開催されたが、そこでは、本件決議を受けて、年会費 8000円を4期に分けて3か月分2000円宛集金すること、会費増額に反対して支払を拒否する会員には、自治会離脱届の提出を求めること、従前行われていた募金や寄付金の集金業務は本年度より廃止することなどが確認された。(甲1、5)
(5)その後、本件決議及び上記役員総務会の確認に基づき、班長や組長が各世帯を訪問して、改定後の会費の集金を行った。しかし、控訴人らは、会費のうち募金及び寄付金に相当する年2000円の増額分を支払いたくないとして、これを除いた会費分(従前会費相当分)を支払おうとしたが、一部のみを受け取れないとして受取を拒絶された。被控訴人は、このような会員については、一部入金扱い又は不払い扱いとはせず、会費全額について保留の扱いとしている。(甲10、11の1・2、乙10、11)
2 ところで、本件決議に係る増額分の年会費2000円は、本件各会への募金及び寄付金に充てるために集金され、集金後その年度内に本件各会に募金及び寄付金として支払われることが予定されていたものである。しかし、募金及び寄付金は、その性格からして、本来これを受け取る団体等やその使途いかんを問わず、すべて任意に行われるべきものであり、何人もこれを強制されるべきものではない。上記1(2)のとおり、本件決議がなされる以前の被控訴人の会員の本件各会に対する募金及び寄付金に対する態度は一様ではなく、本件各会ごとに見ると、集金に協力した世帯は全世帯の半数程度以下であり、しかも本件各会ごとに募金及び寄付金を拠出するかどうか対応を異にする会員もいたことが窺われる。このように、従前募金及び寄付金の集金に協力しない会員も多く、本件各会ごとに態度を異にする会員がいる中で、班長や組長の集金の負担の解消を理由に、これを会費化して一律に協力を求めようとすること自体、被控訴人の団体の性格からして、様々な価値観を有する会員が存在することが予想されるのに、これを無視するものである上、募金及び寄付金の趣旨にも反するものといわざるを得ない。また、少額とはいえ、経済状態によっては、義務的な会費はともかく、募金及び寄付金には一切応じない、応じられない会員がいることも容易に想像することができるところである。学校後援会費については、会員の子弟が通学しているかどうかによって、協力の有無及び程度が当然異なるものと考えられる。募金及び寄付金に応じるかどうか、どのような団体等又は使途について応じるかは、各人の属性、社会的・経済的状況等を踏まえた思想、信条に大きく左右されるものであり、仮にこれを受ける団体等が公共的なものであっても、これに応じない会員がいることは当然考えられるから、会員の募金及び寄付金に対する態度、決定は十分尊重されなければならない。
したがって、そのような会員の態度、決定を十分尊重せず、募金及び寄付金の集金にあたり、その支払を事実上強制するような場合には、思想、信条の自由の侵害の問題が生じ得る。もっとも、思想、信条の自由について規定する憲法19条は、私人間の問題に当然適用されるものとは解されないが、上記事実上の強制の態様等からして、これが社会的に許容される限度を超えるときには、思想、信条の自由を侵害するものとして、民法90条の公序良俗違反としてその効力を否定される場合があり得るというべきである。
本件決議は、本件各会に対する募金及び寄付金を一括して一律に会費として徴収し、その支払をしようとするものであるから、これが強制を伴うときは、会員に対し、募金及び寄付金に対する任意の意思決定の機会を奪うものとなる。なお、被控訴人は、本件各会に対する募金及び寄付金を会費の一部として集金しようとするものであるが、本件決議に至る経緯からして、これは名目上及び徴収の都合上のことにすぎず、実質は募金及び寄付金を徴収し、これをそのまま本件各会に支出することを予定していたものであって、被控訴人の本件各会に対する募金及び寄付金の支出と会員からの集金とは、その名目にかかわらず、その関係は直接的かつ具体的であるということができる。
次に、被控訴人は、前記第2の2(2)のとおり、強制加入団体ではないものの、対象区域内の全世帯の約88.6パーセント、939世帯が加入する地縁団体であり、その活動は、市等の公共機関からの配布物の配布、災害時等の協力、清掃、防犯、文化等の各種行事、集会所の提供等極めて広範囲に及んでおり、地域住民が日常生活を送る上において欠かせない存在であること、被控訴人が、平成16年5月ころ、自治会未加入者に対しては、?甲南町からの配布物を配布しない、?災害、不幸などがあった場合、協力は一切しない、?今後新たに設置するごみ集積所やごみステーションを利用することはできないという対応をすることを三役会議で決定していること(甲1、3、6、乙2)からすると、会員の脱退の自由は事実上制限されているものといわざるを得ない。
そして、被控訴人において、本件決議に基づき、募金及び寄付金を一律に会費として徴収するときは、これが会員の義務とされていることからして、これを納付しなければ強制的に履行させられたり、不納付を続ければ、被控訴人からの脱退を余儀なくされるおそれがあるというべきである。これに関し証拠(乙10、11)には、会費の不納付者に対しても、脱退を求めず、会員として取り扱っている旨の記載がある。しかし、上記証拠によっても、会費については、不納付扱いではなく保留扱いとしているのであって、いわば徴収の猶予をしているにすぎないから、現在このような扱いがなされているからといって、将来も(裁判終了後も)脱退を余儀なくされるおそれがないとはいえない。
そうすると、本件決議に基づく増額会費名目の募金及び寄付金の徴収は、募金及び寄付金に応じるか否か、どの団体等になすべきか等について、会員の任意の態度、決定を十分尊重すべきであるにもかかわらず、会員の生活上不可欠な存在である地縁団体により、会員の意思、決定とは関係なく一律に、事実上の強制をもってなされるものであり、その強制は社会的に許容される限度を超えるものというべきである。
したがって、このような内容を有する本件決議は、被控訴人の会員の思想、信条の自由を侵害するものであって、公序良俗に反し無効というべきである。
3 結論
以上の次第で、控訴人らの本訴請求中、本件決議の無効確認を求める部分は理由があり、そして、本件決議が無効である以上、控訴人らの会費の支払債務が年6000円を超えて存在しないものというべきであるから、その確認を求める部分も理由があり、いずれも認容されるべきである。なお、上記無効確認を求める部分が、控訴人らと被控訴人との間のみにとどまらず、法律関係を画一的に処理する必要があるとして、その効力を対世的に及ぼす判決を求めるものであるとしても、控訴人らの被控訴人に対する会費の支払債務が年6000 円を超えて存在しないことの確認を求める部分がこれに当然に含まれるものともいえないから、後者について前者と併せて確認を求める利益はあるものと解するのが相当である。
よって、これと結論を異にする原判決を取り消し、控訴人らの上記請求をいずれも認容することとし、主文のとおり判決する。
(平成19年5月25日口頭弁論終結)
 
大阪高等裁判所第13民事部
裁判長裁判官   大  谷  正  治
裁判官   高  田  泰  治
裁判官   石  田  裕  一
 


社協会費等の納入方法に関する考え方について
社協会費等の納入方法に関する考え方について
全国社会福祉協議会
地域福祉推進委員会
1.経過
○ 発端
滋賀県甲賀市の希望ヶ丘自治会では、従来、役員が各戸を訪問して、小学校教育後援会、中学校教育後援会、共同募金会、緑化推進委員会、社会福祉協議会、日本赤十字社等への会費・寄付等を個別に依頼していた。
平成18年3月の定期総会において、年会費を6,000円から8,000円に増額し、増額分を上記会費・寄付金等に充てることを賛成多数で決議したところ、この決議の無効を求め住民5名が提訴した。
○ 裁判の経過
平成18年11月27日 一審・大津地方裁判所判決
・原告(住民5名)の請求を却下した。
平成19年8月24日 控訴審・大阪高等裁判所判決
・一審判決を破棄し、被告(希望ヶ丘自治会)の決議を無効とする判決を言い渡した。
平成19年9月5日 被告(希望ヶ丘自治会)が最高裁に上告
平成20年4月3日 最高裁が上告を棄却、控訴審判決が確定
○ 地域福祉推進委員会の取り組み
平成19年9月27日 全社地発第231号により各都道府県・指定都市社協宛「社協会費等の納入方法に関する考え方について」通知
2.基本的考え方
○ 今般、最高裁が上告を棄却し、控訴審判決が確定した。確定した判決は、自治会として社協会費の納入への協力や、社協会費を含めて自治会費を集めることが違法であるとの判断を下したものではなく、自治会がその意思決定を行うにあたって、本件決議が「募金及び寄付金に応じるか否か、どの団体等になすべきか等」について、「会員の意思、決定とは関係なく一律に、事実上の強制をもってなされるものであり、その強制は社会的に許容される限度を超えるもの」であったことが問題とされたものであり、基本的考え方は前通知の通りである。
○ もとより社協への加入は地域住民の意思を基本としているものであり、社協会費の納入にあたってはそこに「任意性」が担保されることが必要である。そのため、市区町村社協におかれては、自治会が会員たる地域住民の自発的な意思を十分尊重されるようご配意をいただくとともに、地域福祉の発展のために市区町村社協と自治会との一層の協力体制が構築されるようお願いしたい。
〔参考〕
本会に寄せられる質問から、下記の通りQ&Aを作成したので、参考にされたい。
Q1 自治会で社協会費を集めることはできるのか。
A1 社協会費や共同募金への寄付を、自治会に協力いただくこと自体、法的に問題はない。むしろ地域福祉の発展のためには自治会との一層の協力体制を構築することが重要といえる。
今回の判決は、社協会費等を自治会費と一括で集めるために会費増額の際に、会員がそれに応じない場合には、生活上不可欠な自治会からの脱退を強制されたことが問題とされたものであり、あくまで当該自治会固有の問題で、自治会による社協会費納入等への協力を否定したわけではない。
Q2 自治会費と社協会費を一括で集めることはできるのか。
A2 社協会費納入の協力を自治会に依頼する場合、その集金方法は、当該自治会の判断に委ねられる。各自治会で承認された方法であれば、自治会が社協会費を自治会費と一括して集める方法を選択すること自体に問題はないと考えられる。
しかし、今回の判決をきっかけに、会費納入のあり方に疑問を感じられた方も少なくなく、そうした方に対しては、社会福祉協議会の意義や目的、会費の使途など十分説明しご理解いただくことが重要となる。
なお、自治会費と一括して会費を集める場合、住民に「自治会に加入していれば社協会費も支払わなければならないという誤解をあたえる可能性」も否定できない。このため、社協会費の納入が任意であることを明示したり、社協会費専用の封筒を用意するなどの工夫が必要である。一部、自治会費のなかに社協会費等会費・寄付金が含まれていることを明示せず集金する例も見受けられるが、こうした場合、特に誤解を受けやすく、社協会費等会費・寄付金の納入は、あくまで任意であることを住民に理解していただける方法にするよう、自治会役員等に十分説明していくことが重要と考える。

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