女子の体操競技において身体の細さの需要は圧倒的で、10代の体操選手達は、痩せなければいけないという強いプレッシャーを掛けられ、潜在的に、重度の摂食障害に陥るのを余儀なくされている。という衝撃的な告白をしたのは、イギリスで元体操競技をしていたアンバー・バレンティーニスタイルスさんとリアンノン・オーウェンさん(共に18歳)。ロンドンオリンピックで、イギリスの女子体操チームがメダルを獲得したのは記憶に新しいが、2人によると、この競技では、選手達は餓死寸前に食事制限をして痩せることが要求されるという。
選手達は、炭水化物を抑えた食事をするように指導され、毎日の食事記録を付け毎週コーチに報告するよう言われる。3時間のトレーニング中には、何度も体重を量らされ、痩せなければという激しいプレッシャーからパニックを起こしてしまったら、医療機関を受診するよう要求される。その結果、選手達は心身のバランスを崩してしまうのだという。実際に、2人もひどく体調を崩し、体操競技を断念した。
リアンノンさんは4歳から体操競技を始め、14歳の時に、国際大会に出場する準備を始めた。その時に、彼女は太りすぎだとコーチに指摘された。「あともう1kgでも太ったら、タンブリングができなくなるって言われたわ。」当時の彼女の体重は57kg以下で、太っていない健康的な体型だったのだが、彼女の体重に関するコメントは情け容赦ないものだった。「体重について指摘されて、私は摂取カロリーを制限しなくちゃいけないんだって思ったの。」それから彼女は、女性の理想的な1日の摂取カロリーが2000カロリーなところ、1日わずか600カロリーしか取らないダイエットをした。
結果、彼女は18歳になった時41kgしかなくなり、深刻な痩せ過ぎ状態で、かろうじて歩ける状態だった。「10歩も歩いたら、もう足が動かなくなってたの。気を失って倒れて入院したことが4回もあったわ。」 彼女の異変に気づいた両親は、摂食障害リハビリセンターに彼女を連れて行き、その後、彼女は7ヶ月間も病院で過ごし、拒食症と闘った。
アンバーさんの方も、イギリス代表に3回も選ばれた13歳の時に、体重について叱責され、心身共に病んでしまった。「アンバーは、何度も何度も『ある一つの種目ができないのは太りすぎのせいだ』って言われ続けたんです。」とアンバーさんの母チェリーアンさんは話す。アンバーさんの異変に気づいてチェリーアンさんが、彼女を体操から辞めさせた時には、彼女の体重は著しく落ちていた。その後、彼女は過食に陥り、あっという間に12kg太った。
リアンノンさんとアンバーさんの両親は、体重に関するコーチの指導方法について英国体操協会に苦情を申し立てたが、関係者達はまったく調査していないようだという。
英国体操協会医師ピッパ・ベネット医師
体操競技は潜在的に摂食障害になる高いリスクがあるスポーツだと認識されていますが、我々は専門家と連帯して選手達のサポートを行っています。もし摂食障害の事象が確認された場合は、我々の医療福祉部門が専門家とコンタクトを取り、助言を仰ぎます。
現在、リアンノンさんは退院し、体重は元の健康的な数値に戻った。将来についてもポジティブに考えられるようになった。アンバーさんも健康的な体重に戻り、絵の個展を開き、新たな道を歩み始めている。
スポーツは元々楽しいものだが、プロや大会での上位入賞を目指す場合には、過酷なこともたくさんある。体調・体型管理だってもちろん、その一つだ。だが、プロフェッショナルであればあるほど、選手が心身の健康を保ち、より競技に集中できるようにすることは、コーチの大事な役割の一つであるはずだ。心身のバランスを崩してしまうようなプレッシャーの掛け方、選手が異常なダイエットをしていても気に掛けない無頓着さは、プロのコーチとはいえない。
============== 正常とは言い難いダイエットを、直接、具体的に選手に指示したり、「もっと身体を絞れ」など、選手の判断に委ねる指示ばかりで、専門家と連帯して選手達のサポートを行っていないコーチがいるのであれば、それは問題だろうと思う。ただ、英国体操協会医師のピッパ・ベネット医師は「体操競技は潜在的に摂食障害になる高いリスクがあるスポーツだと認識されていますが、我々は専門家と連帯して選手達のサポートを行っています。もし摂食障害の事象が確認された場合は、我々の医療福祉部門が専門家とコンタクトを取り、助言を仰ぎます」としているから、告白にどれほどの真実があるのかはわからない。