米労働省が7日発表した11月の雇用統計は、雇用者数の伸びが市場予想を上回り、大型ハリケーン「サンディ」による影響は大方の予想よりも軽微となった。
非農業部門雇用者数は14万6000人増加し、市場予想の9万3000人増を上回った。
失業率も7.7%と、予想(7.9%)以上に改善し、2008年12月以来4年ぶりの低水準となった。ただ、職探しをあきらめる動きが失業率の押し下げ要因となっており、依然として精彩を欠く雇用情勢が浮き彫りとなった。
RBCキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、ジェイコブ・ウビーナ氏は、統計の内容について、今年の平均的な水準にとどまっていると指摘。「すう勢は変化しておらず、労働市場は悪化もしていなければ、大きく改善もしていない」と述べ、米連邦準備理事会(FRB)は来年にかけて量的緩和(QE)を継続していくと思われると述べた。
今年の雇用者数の伸びは月平均15万1000人増。失業率の大幅改善には約20万─25万人の雇用増が必要とされる。
9・10月の雇用者数は下方修正され、計4万9000人減となった。
10月下旬に米東部を襲ったハリケーン「サンディ」について、労働統計局のジョン・ガルビン氏は「11月の米雇用・失業への著しい影響はなかった」と述べた。
11月の雇用増のすべては民間部門の増加によるものだった。民間部門の雇用者数は14万7000人増、政府部門は1000人減だった。
民間部門の内訳は、小売が5万2600人増、専門職が4万3000人増、人材派遣が1万8000人増。
半面、製造は7000人減、建設は2万人減となった。
時間当たり賃金は0.04ドル上昇。平均週間労働時間は前月から横ばいの34.4時間。
来週行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今回の統計はさほど重要視されないとみられている。エコノミストらは、仮に減税失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」をめぐる協議が妥結しても、来年以降の財政緊縮は避けられないことから、超金融緩和政策は今後も継続していくと見込んでいる。
BNPパリバ(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、ジェレミー・ローソン氏は「来週のFOMCでは債券買い入れプログラムの延長が発表されると思う」と述べた。
短期債を売却し長期債を買い入れる「ツイストオペ」は年内に期限切れを迎えるため、エコノミストは国債買い入れプログラムをFRBが導入すると予想している。