フランスで2004年に死去したパレスチナ自治政府の故アラファト議長の「毒殺疑惑」で、自治政府の死因調査委員会は24日、アラファト氏の遺体を今月27日に掘り起こし検体を採取すると発表した。
同委のタウフィク・ティラウィ委員長によると、仏、スイスとロシアの科学捜査専門家らが検体をそれぞれ持ち帰り、死因を鑑定する。委員長はアラファト氏死去の真相を探るために必要な措置と述べた。
アラファト氏の遺体はラマラ市の自治政府議長府の敷地内にある霊廟に埋葬された。27日の掘り出し後、アラファト氏の遺体は軍葬で再び埋葬され、墓は閉じられる予定。遺体の掘り起こしは自治政府のアッバス議長が認めていた。
スイスの放射線物理学研究所は今年、アラファト氏の歯ブラシや衣服、愛用していたヘッドスカーフに毒性の強い放射性物質ポロニウム210が高濃度のレベルで検出されたと発表。
これを受けアラファト氏のスーハ夫人は毒殺による殺人事件としてフランス当局に正式告訴していた。夫人はCNNに対し、遺体の検体鑑定でポロニウム検出を100%信じていると語った。
ヨルダン川西岸を支配する自治政府は、アラファト氏が毒を盛られた場合、背後にはイスラエルがいるとの見方を強めている。イスラエルは同国の関与説についてコメントを拒否している。
ポロニウム210は英国内で2006年に発覚した旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元要員アレクサンドル・リトビネンコ氏の殺害事件でも検出されていた。同氏は当時、ロシアのプーチン大統領の批判する反体制派活動家となっていた。