第21回ASEAN首脳会議及び一連の会議は18日、カンボジアの首都プノンペンで始まり、東南アジア10ヵ国の指導者及び代表団が開会式に出席しました。3日間の日程で、参加者たちはASEANの一体化、ASEAN経済の好転及びASEAN内部の紛争調整能力の強化などの議題をめぐり協議します。また、中国、日本、韓国、米国、ロシア、インド、ニュージーランド及びオーストラリアが参加する二国間あるいは多国間首脳会議で、地域の協力強化と共同の危機対応などについて意見交換を行う予定です。
このほか、東アジア諸国の指導者が参加する一連の会議も19日から相次いで開かれ、中国の温家宝首相も招きに応じて出席する予定です。今回のサミットには中国、日本、韓国をはじめ、8ヵ国の指導者が参加するため、地域間協力に関する議論も注目されています。また、ASEAN10ヵ国と自由貿易パートナー国のオーストラリア、中国、インド、日本、韓国とニュージーランドの指導者が期間中に全面的な経済パートナーシップ協定に向けての協議を始め、世界最大の自由貿易区が形成されます。このことは、東アジア地区、さらには世界の貿易状況に重要な影響を及ぼすことになります。
また、『南海に関する行動宣言』の継続的な推進も今回の首脳会議の主な議題の一つで、各国の指導者は平和理解を踏まえて、対話と協議を行うことになります。
中国と一部加盟国が領有権を争う南シナ海問題を巡り、策定作業が難航する紛争防止の規則「行動規範」については協議の継続で合意しただけで、踏み込んだ議論はないまま閉幕した。
ASEAN外交筋によると、20日に発表予定の議長声明では当初案に明記していた「南シナ海の航行の自由を尊重する」など、中国側に不都合な文言が削除される。本会議終了後、ASEANのスリン事務局長は「(各国首脳は)行動規範策定に向けた協議を継続する重要性を確認した」と強調。しかし議長声明に「早期策定」という文言を盛り込むかどうかなど調整が続いている。
今回もASEAN内で対中強硬派のフィリピン・ベトナムと、親中派の議長国カンボジアの間で対立。カンボジアのカオ副外相は会議終了後の会見で「南シナ海を国際問題化しない」と、当事国同士での解決を目指す中国の主張を代弁。日米中など18カ国の首脳が集まる20日の東アジアサミットで、米国がこの問題を持ち出すのを牽制した。
インドネシアは今回、南シナ海の緊張を避けるため各国が連絡を取りあう「ホットライン設置」などを提案。しかしカンボジアのカオ副外相は17日の会見で「行動規範の策定期限などスケジュールは決まっていない」と話し、中国との本格交渉開始のめどさえ立たない。一方、ASEANはミャンマー民主化の進展を受け、地域で初めて人権保護をうたった「人権宣言」を18日に採択した。
このほか、今回の会議では、『ASEAN人権宣言の執行に関するプノンペン宣言』、『カンボジアにおけるASEAN地雷除去センターの設置に関する決議』及び『ASEAN一体化に向けての2012年目標に関する報告』などの一連の声明と文書が採択され、調印される見込みです。
さらに、『南海に関する行動宣言』の調印10周年を記念するため、中国とASEAN諸国による関連の合同声明の発表も予定されています。
カンボジアを訪れている野田総理大臣は、19日、ASEAN=東南アジア諸国連合に日本、中国、韓国の3か国を加えた首脳会議に臨み、沖縄県の尖閣諸島を巡る問題について日本側からは取り上げない意向ですが、中国側が言及した場合は反論することにしており、中国側の出方を注視することにしています。
カンボジアを訪れている野田総理大臣は、日本時間の19日、まずASEAN=東南アジア諸国連合10か国との首脳会議に臨みます。この中で野田総理大臣は、沖縄県の尖閣諸島を巡る問題を念頭に、フィリピンやベトナムなどが中国と対立しいる南シナ海の島々の領有権問題について、ASEANと中国が、問題の平和的な解決に向けて、法的拘束力のある「行動規範」を早期に締結するよう呼びかける考えです。
このあと野田総理大臣は、ASEANに日本、中国、韓国の3か国を加えた首脳会議に臨み、東アジア地域での包括的な経済連携を目指すRCEP(アールセップ)や北朝鮮情勢などについて意見を交わすことにしています。
野田総理大臣は、尖閣諸島を巡って、日中両国の首脳が国際会議で互いの主張を述べあうことは避けたいとして日本側からは取り上げない意向ですが、中国の温家宝首相が言及した場合は、尖閣諸島は日本固有の領土だと反論することにしています。
そのうえで、日中両国はアジアの平和と安定に責任を有するパートナーだとして、いかなる懸案にも冷静かつ平和的に取り組み、大局的観点に立って戦略的互恵関係を進めていくべきだと呼びかける方針です。
尖閣諸島を巡っては、今月6日にラオスで開かれた国際会議で、中国の楊外相が、島を国有化した日本の行動を厳しく非難し、野田総理大臣との間で激しい応酬になっており、野田総理大臣は中国側の出方を注視することにしています。