中国政府・外交部の洪磊報道官は5日の定例記者会見で、日本を訪問したダライ・ラマ14世を強い調子で非難した。日本政府にも「中国分裂活動の場を提供した」として厳重に抗議したという。
ダライ・ラマ14世は4日から13日の日程で、横浜(神奈川県)、東京、那覇(沖縄県)で講演などの活動を行っている。
洪報道官は「ダライは宗教という着物を着て、長期にわたり中国を分裂させる活動をしている政治的流亡者だ。ダライの国際活動の重要な目的は、国際的な反中国製力と結託して(中国の)分裂活動を行い、中国と関連国の関係を破壊することだ」と、ダライ・ラマをきつい調子で非難。
訪日に関連しては「中国側はいかなる国家、いかなる者が、いかなる形式であれダライに分裂活動の場を提供することに、断固として反対する。中国側はすでに、日本に厳重に抗議した」と述べた。
チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世が訪日したことについて、中国外務省の洪磊報道官は5日の定例記者会見で「日本側に厳正な申し入れを行った」と述べ、日本に抗議したことを明らかにした。
中国のチベット族居住区では中国当局の弾圧に抗議する焼身自殺が多発し、ピレイ国連人権高等弁務官は今月2日、中国のチベット政策を批判する声明を発表したが、報道官は「強い反対と不満を表明する。中国への内政干渉をやめるよう望む」と反論した。
報道官は「ダライの目的は中国の分裂活動を進め、中国と他国の関係を破壊することだ」と主張。「いかなる国であろうと、ダライの分裂活動に、場所を提供することに反対する」と述べ、ダライ・ラマの訪問を受け入れた日本を批判した。
◆解説◆
ダライ・ラマはモンゴルを支配したアルタン・ハーン(在位:1551−1582年)が、師と仰いだデプン寺座主のソナム・ギャツォに同称号を贈ったことによる。ダライはモンゴル語で「海」の意だ。
中国当局およびメディアは通常、「ダライ」とだけ呼んで、「高僧」を意味する「ラマ」はつけない。2008年に中国当局がダライ・ラマ14世の特使と話し合いを行った際には4月ごろから公式声明などの中で「ダライ・ラマ」の呼称を使いはじめたが、その後は再び「ダライ」に戻った。