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Channel: Boo-HeeのHoppingブログ
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旬の料理を売りにする観光地は閑古鳥 国は未だ除染方法の調査中!

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 原発事故の影響で、今年も秋の味覚が打撃を受けている。放射性セシウムが国の安全基準を下回らず、旬の料理を売りにする観光地には客が戻ってこない。国が除染方法の調査に乗り出す中、関係者の悩みは深まるばかりだ。

「ワカサギは釣るだけではなく、食べてなんぼ。早く持ち帰れるようになってほしい」。前橋市北部の赤城山の頂にあるカルデラ湖「赤城大沼」の漁協組合長・青木泰孝さん(62)は、ため息交じりにつぶやく。

 ワカサギが釣れる赤城大沼は例年9月〜翌年3月末のシーズン中、約2万5千人が訪れる人気の観光スポットだ。釣ったばかりのワカサギをすぐに食べられるのが好評だが、今秋は沼のほとりに約100隻のボートがつなぎ留められたままの状態が続く。

 原因は昨年3月の東京電力福島第一原発事故。昨秋〜今春は放射性セシウムが国の暫定基準(1キロあたり500ベクレル)を上回り、ワカサギ釣りの解禁は全面的に見送られた。

 再起をかけた今シーズン。8月下旬にワカサギを検査したところ、安全基準(同100ベクレル)を上回る210ベクレルが検出された。県側は「2年連続の全面禁止は観光への影響が大きい」と判断。持ち帰りは禁じる一方、釣りだけは解禁した。

 しかし、釣り客は戻ってこない。原発事故前は休日になると湖畔のボートはほぼ全てが貸し出されていたが、今は客が約10分の1に減った。ツアーを毎年企画してきた「はとバス」(東京)は今秋、ワカサギを持ち帰れないことを理由に赤城大沼へのツアーを見送った。小中学生の林間学校のキャンセルも相次いでいるという。

 地元の「青木旅館」代表の青木猛さん(48)は「震災後、収入がほとんどなくなった」とこぼす。

 秋から冬にかけて脂が乗るイノシシ。街おこしをめざして「八溝(やみぞ)ししまる」と名付けたイノシシ肉で知られる栃木県那珂川(なかがわ)町も深刻だ。

 国の基準を超える放射性セシウムが検出された昨年12月から出荷停止となっているが、栃木県は那珂川町の施設で加工する分に限って「全頭検査」を条件に出荷停止を解除。町は今年4月〜今月上旬に約100頭を検査し、安全が確認できたものを出荷した。基準超えは3頭だった。

 だが、スライス肉を売る「道の駅ばとう」の売れ行きは伸び悩む。「検査済」と記したシールをパックに貼っているが、販売担当者は「放射能を気にする人がいるのかも」と話す。

 イノシシ肉を使った料理を出す旅館「いさみ館」は宿泊客が震災前の半分近くに減った。おかみの酒主(さかぬし)くみ子さん(60)は「安心、安全と確認できたものを出している。ぜひ来て、食べてほしい」と話している。

■旬の鍋物、出荷停止も

 「寒平目」の名の通り、冬にかけて身が締まり、エンガワの脂が乗ってくるヒラメ▽鍋料理に使われるマダラやアイナメ、ホウボウ▽秋から冬にかけて脂が乗って身が軟らかくなるウナギ……。秋から冬にかけての味覚の出荷停止は、福島県を中心に広がる。

 魚だけではない。晩秋〜冬に辛みを増すワサビのほか、クリ、露地栽培のシイタケ、野生キノコ、ユズ、カブも出荷が停止されている地域がある。

 市場には別の地域の産品が出回っており、現時点では消費者の手元に届いている。しかし、出荷停止が長引けば、価格が高くなる可能性もある。

 農林水産省の担当者は「出荷停止が旬と重なり、影響を受けている観光地や産業があることは把握している。一方で消費者の安心・安全を守るため、放射性セシウムが安定的に基準値を下回るまで解除はできない」と説明。現在、除染方法を探るため、土壌状況や魚に与える影響などを専門家とともに調査中だとしている。


〈食品中の放射性物質の安全基準〉 
 福島の原発事故を受け、国は食品に含まれる放射性セシウムの上限を「1キロあたり500ベクレル」(飲料水と牛乳・乳製品は200ベクレル)とした暫定基準を設けた。さらに、今年4月以降は「1キロあたり100ベクレル」(乳児用食品と牛乳は50ベクレル、飲料水は10ベクレル)とする新基準を導入した。基準値を上回ると、出荷自粛や出荷制限の対象となる。























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