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海老蔵”抜き身のごとく鋭い感性を持った千利休を表現できれば 2年ぶり映画 妻役は中谷美紀

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 歌舞伎俳優の市川海老蔵(34)が、来年12月公開予定の映画「利休にたずねよ」(田中光敏監督)で千利休を演じる。

 女優中谷美紀(36)が利休の妻・宗恩を演じる。関係者によると、出演が決まってから、中谷は毎週、茶道の稽古をしているといい、「利休ほどの人物に寄り添い、理解を示し、そして支えた宗恩という女性の深い愛と哀しみを、たたずまいだけでも表現できるよう努めたいです」と意気込んだ。海老蔵も茶道の心得があるが、あらためて千家の協力を受け、その所作を再現する。89年の「千利休 本覚坊遺文」(熊井啓監督)「利休」(勅使河原宏)では描ききれなかった演者による本格的な茶の点前も見どころになりそうだ。

 映画「利休にたずねよ」は、2008年に直木賞を受賞した同タイトルの小説が原作で、海老蔵はこれまでの利休のイメージとは大きく異なり、美意識と茶道に対してあふれんばかりの情熱を注いだ“茶聖”を体当たりで演じる。また、利休の妻である宗恩を女優の中谷美紀(36)が務める。

 昨年7月の仕事復帰以降、精力的に舞台で活動してきた海老蔵が、2年ぶりの映画撮影に臨む。

「利休にたずねよ」は、西田敏行(65)主演で映画化された「火天の城」などで知られる作家・山本兼一さんの小説が原作。秀吉からその能力や人望をねたまれ、切腹に追い込まれるに至った過程に隠された、真の理由に迫ると同時に、利休が命をかけてでも守りたかった“何か”を描く。

 千利休といえば、残された肖像画などから「枯れた感じの落ち着き払った老人」がイメージだ。が、今作で描かれるのは「危なっかしい魅力と美を極められる男」。実際、史実において「ギラギラした男だった」と記されているものもあるという。

 そんな利休を演じ切れるのは海老蔵しかいない、と配給する東映が白羽の矢を立てた。歌舞伎俳優として松竹で活動し、過去2作の映画も松竹配給だったが、映画会社の枠を超えて2年前にオファー。その後、脚本を何度も練り直し、今年1月に海老蔵から出演のオーケーが出たという。

 海老蔵は「利休の本当の魅力は、彼の人間性、狂気と思えるほどに、美しいものを追い求める情熱にあったと私は、想像しています」と話す。茶道と歌舞伎―形は違えど脈々と受け継がれる文化の中に生きる人物として、共感する部分も多いようで「私に期待されているであろう、(刀の)抜き身のごとく鋭い感性を持った千利休を表現できれば役者冥利に尽きます」とコメントしている。

 利休の妻を演じる中谷は「宗恩という女性の深い愛と悲しみを、たたずまいだけで表現できるよう努めたいと思います」とコメント。関係者によるとプライベートで茶道を習っており、出演依頼をする前に原作を読んでいるなど作品に興味があったという。

 5日に東映京都撮影所でクランクイン。関西でのロケを含め、約2か月かけて撮影が行われる。

 
◆千利休(せんのりきゅう)1522年生まれ。戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した茶人。「わび茶」を完成させた人物としても知られる。大阪・堺の商家に生まれるが、青年期から茶の湯に親しみ、織田信長の茶頭に。本能寺の変後は豊臣秀吉に仕えた。1591年、秀吉の逆鱗(げきりん)に触れ、切腹を命じられる。享年70歳。過去に利休を主演にした映画としてはいずれも89年に公開された「千利休 本覺坊遺文」(演・三船敏郎、熊井啓監督)、「利休」(演・三國連太郎、勅使河原宏監督)などがある。



























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