3日に来日したチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が4日、横浜・みなとみらい21地区のパシフィコ横浜で法話と講演を行った。約4700人の聴衆を前に、知性によって欲望や執着を遠ざけ「心の平和」を築く重要性を訴えた。法話に先立ち、自身のポートレートが描かれた布を支持者から贈られた。法王は12日間の予定で日本に滞在する。
14世は、科学技術が持つ発展と戦争被害といった二面性を引き合いに、「苦しみを生み出すのは間違った人間の使い方」と指摘。昨今の世界的な経済危機も「お金や権力を追い求めた結果だ」と述べた。その上で「宗教的信心がなくても、世俗の倫理観で判断すれば心の平穏を得ることができる」と強調した。
質疑では、聴衆からの質問に丁寧に答えた。「東日本大震災後、(政府の対応などへの)怒りをモチベーションに行動している人が多いが、それでよいのか」との問いには「怒り」の感情との向き合い方を説明。「大きな怒りを爆発させて壊れてしまうのは心の平和。日本には『協力』の精神が行き渡っている。未来を再建するため前を向き、忍耐を育んで」と諭した。
今後、東京都内で日本の科学者と「宗教と科学」をテーマに議論するシンポジウムに出席するほか、那覇市で講演する予定。