アメリカ軍の兵士に対し、夜間外出を禁止する措置が取られている沖縄県で、アメリカ軍の兵士とみられる男が酒を飲んで男子中学生を殴った事件が起きたことについて、全国都道府県知事会議に出席するため上京している沖縄県の仲井真知事は「警察が捜査中ということで詳しい内容は聞いていないが、事実であれば、かなわない」と述べました。そのうえで、「事件を起こしたのがアメリカ軍の兵士なのか、綱紀粛正の対象となっているのか確認したい」と述べました。
沖縄県にあるアメリカ軍基地の問題を担当する与世田兼稔副知事は、詳細を確認中だとしたうえで、「アメリカ兵による女性暴行事件が発生して僅か2週間足らずであり、夜間の外出禁止命令が出ているさなかに再び犯罪が起きたことに大変な憤りを感じる」と述べました。そのうえで、「単に外出禁止命令を出したというだけで事足りているという考えがアメリカ軍にあるとしたら問題だと思う。命令を守るかは、個々の兵士に委ねられているところがあり、県としても今一度、外出禁止命令の実効性を担保し、それを順守させるよう、日米両政府とアメリカ軍に求めていきたい」と述べました。
※担保とは、損害が応じた場合にはその損害に応じた保障を行うことを意味する言葉である。従って「外出禁止命令の実効性を担保する」とは、「外出禁止命令が実際の効力を表さなかったら場合には、その損害に応じた保障を行い」かつ「その保障を遵守させろ」という意味なのだろうか。
また、主に法令において、「公平性を担保する」などのように「担保」の語をサ変動詞にして用いる事例がみられる(「保証する」「仕組みを確保する」などの意味で用いていると推察される)。つまり、『「担保」の語のサ変動詞』はお役人言葉の一種として受取られ、これを「ある望ましい状態を実現・確保」とすると、「外出禁止命令の実効性を担保し、それを順守させる」とは、「外出禁止命令という状態を実現・確保し、それを遵守させる」という意味なる。
どちらを意味を受取るかは、受けて次第ということである。
さて、では「外出禁止命令という状態は実現・確保されていない」のだろうか。確かに、今回命令違反者はでた。しかし、どのような法律でもそうだが、その法律を守らなかった人がいたから、「その法律(これこれしかじかを守れという命令)は実現・確保されていない」とは言えない。従って与世田兼稔副知事の発言は用字法における「担保」の意味ではなく、損害が応じた場合にはその損害に応じた保障を行うの「担保」の意味のようである。
事件を受けて、読谷村の石嶺傳實村長は記者会見を開き、「酒に酔って、何の落ち度もない中学生にいきなり暴行を加える蛮行は到底許し難く、全村民を代表して強く抗議する」という緊急の声明を発表しました。そのうえで、「日本の安全安心が、沖縄の基地被害の上に成り立ってはいけないということを全国民が知るべきだし、基地の整理縮小・返還を求めていくというのは、今の沖縄の現状からすると当然のことだ」と述べました。
現場の近くの飲食店で働く10代の男性は「またか、という感じがします。規定を守ってほしいし、こういうことが続くと、沖縄の人たちの態度も変わってくるので見直してほしい」と話していました。
近くの保育園で働く20代の男性は「これ以上続くと、不安はいつまでも絶えないのかなと思います。怒りと、意識の低さにあきれる気持ちです」と話していました。近くのショッピングセンターに買い物に来ていた40代の女性は「こういう時期に、立て続けに事件があるのは、意識の違いがあると感じます。沖縄の人たちの思いが全く届いていないと思います」と話していました。
50代の男性は「基地をなくしてほしいです。近くで事件があると、自分にも、小さい子どももいるので怖いです」と話していました。
夜間の外出禁止を指示されているアメリカ軍の兵士が、2日未明、沖縄県で、酒に酔ってビルの3階の部屋に侵入し、室内にいた男子中学生を殴ってけがをさせた疑いがあることが分かり、警察が住居侵入や傷害の疑いで調べています。
事件を受けて、沖縄県は、沖縄のアメリカ総領事らに電話で抗議しました。沖縄県によりますと、県の基地政策を統括する又吉進知事公室長が2日午前、沖縄のマグルビーアメリカ総領事に電話をして、「事件が事実とすれば極めて遺憾だ。女性への乱暴事件のうえに、こうした事件が起きたことは許し難い」と抗議したということです。
そのうえで、「夜間の外出禁止の実効性をどう担保しているのか、きちんと説明してほしい」と、さらに徹底した綱紀粛正を求めたということです。
※ここで使用されている「担保」の意味も、前記と同様と受取っていいかも知れない。ひとつ付け加えれば「外出禁止命令という状態を、どう実現・確保しているのか」に対する答えは「外出禁止命令に違反した者に対しては罰則がある」としていいのではないだろうか。これが唯一、又吉進知事公室長に対する「きちんとした説明」になると思う。
これに対し、マグルビー総領事は「全面的に日本側の捜査に協力する。夜間の外出禁止についてはしっかりと対応したい」と述べたということです。
又吉知事公室長は、防衛省沖縄防衛局の武田博史局長にも電話で抗議し、武田局長は「事実関係を確認したい」と述べたということです。
アメリカ軍の兵士に対し、夜間外出を禁止する措置がとられている沖縄県で、アメリカ軍の兵士とみられる男が酒を飲んで部屋に侵入し、男子中学生を殴った事件について、吉良外務副大臣は、アメリカのルース駐日大使を外務省に呼んで抗議し、ルース大使は、捜査への協力と再発防止に取り組む考えを示しました。
この中で、吉良外務副大臣は「外出禁止の措置を出したばかりなのに、兵士が不法に部屋に侵入し、中学生を殴るとはあってはならないことで、許し難い」と抗議しました。そのうえで、「再発防止策については、実効性の担保に重きをおいてほしいし、事件の捜査にもしっかり協力してほしい」と求めました。
※ここで使用されている「担保」の意味も、前記と同様と受取っていいかも知れない。ひとつ付け加えれば「再発防止策については、実効性の担保に重きをおく」とは、「外出禁止命令という状態を、どう実現・確保しているのか」に対する答えは「外出禁止命令に違反した者に対しては罰則がある」とし、「違反者をださないことは不可能である」としてていいのではないだろうか。これが唯一、吉良外務副大臣に対する返答になると思う。もっとも、外出禁止の時間帯の前後、アメリカの憲兵などが街を徹底的にパトロールして、基地に戻るよう呼び掛ける、あるいは、強引に基地へ戻すことをすれば話しは別だが・・・。
これに対し、ルース駐日大使は「捜査には全面的に協力し、再発防止策についても日本側の意見をよく聞きながら考えていきたい」と述べました。
このあと、ルース大使は記者団に対し、「事件に対して非常に憤慨している。こうした事件を防ぐための制度の見直しを現在進めているところで、今回の事件についても、真相究明と再発防止に向けて全面的に協力していきたい」と述べました。
今回の件は違反者がでたことのトラブルである。そのトラブルはトラブルとして処理すればいい。ほかに特に検討しなければならないことはないだろう。もっとも、日本の政治は感情の批准を重視するから、今回のトラブルで火に油を注いだように怒っている沖縄県民の感情を慰めることに努力するとは思うが・・・。