米海兵隊が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、外務省内で自衛隊への導入を求める声が上がっている。関係者によると、外務、防衛両省の幹部がこのほど協議した際、外務省側が複数回にわたり自衛隊への導入を主張した。日本政府はオスプレイについて安全宣言を出しており、「能力が優れているなら自衛隊が導入するのが自然だ」としているという。
防衛省幹部は「装備要求さえ満たせば可能だ」としながらも、パイロット養成や機体整備の体制づくりなどを理由に難色を示しているという。オスプレイをめぐっては防衛省が過去に救難救助機として導入を検討した経緯がある。その際は下降気流の強さから「救難には不向き」として導入が見送られたが、関係者は「改良により下降気流の問題はクリアされている」としている。
森本敏防衛相は30日午前の記者会見で、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、「米側がグローバルにオスプレイを配備する計画を進めるようになり、日本としてもどのように受け止めたらいいか今年になって研究を始めた。防衛省、自衛隊が導入に完全に道を閉ざしているということではない」と述べ、将来的な自衛隊への導入に含みを持たせた。
オスプレイを巡っては、政府が9月19日、国内運用の安全性が十分確認されたとして「安全宣言」を正式発表した。外務省内には「政府が安全確認しているのだから、東京上空をなぜ飛べないかということになる。離島の災害救難などで非常に有効だ」(幹部)との意見もある。
これに対し、防衛省は複数機購入に伴う費用対効果などを慎重に見極める姿勢。森本氏は「すぐに導入する考えはない。日本の安全保障や防衛にどういう意味を持っているのか今勉強しているところだ」とも述べた。
ただ、オスプレイの沖縄配備を巡って世論の反発が出ている中での森本氏の発言は批判を招く可能性もある。
MV22オスプレイに関する日米合意において、その運用においては米軍の裁量に委ねられている。つまり、沖縄県側がルール違反などという根拠は存在しない。にもかかわらず又吉進沖縄県知事公室長は飛行ルールを定めた日米合意は守らられていないという。そういうルールははじめから存在しない。スポーツにおいてもルールを守るべきプレイヤーに、そのプレイにおける判断の裁量は任されています、とするなら、はじめからルールはないと見るのが普通人である。その意味で異常であり、頭もおかしいのだろうか。それとも日本語が読めないのだろうか。
米軍普天間飛行場に強行配備された垂直離着陸輸送機MV22オスプレイは29日、騒音防止協定で制限されている午後10時ぎりぎりまで飛ぶなど、訓練を一段と激化させた。沖縄本島で初めてとなるつり下げ飛行もあった。歯止めが全くかからない現状に、県民の反発は高まる一方だ。
日没後の午後7時45分、機体番号「03」が離陸し、普天間に戻ったのは制限時間6分前の同9時54分だった。「07」も午後6時19分に離陸、いったん普天間に戻った後、同8時18分にまた離陸し、同9時30分に着陸した。
夜間飛行の間、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校近くのヘリパッドで少なくとも8回離着陸した。伊江島補助飛行場、北部訓練場内の東村高江のヘリパッド、キャンプ・ハンセンでも旋回、タッチ・アンド・ゴーなどを繰り返した。
金武町のブルービーチ訓練場では午後0時半すぎから、「07」がコンクリートのようなブロックをつり下げた物資輸送訓練を1時間ほどかけて実施。つり下げたり外したりしながら、海上旋回や離着陸を繰り返した。22、26両日の伊江島に続き、本島では初めて。
「07」はこの日だけで普天間を4回離着陸、計7時間半飛行し、配備後の1日の飛行時間として最長になった。赤い尾翼の隊長機「00」も4時間50分飛んだ。午後3時20分ごろから約30分の時間帯は、3機のオスプレイが各地で飛行した。
隊長機は同日午後、消火用のバケツをつり下げたまま、キャンプ・シュワブとハンセンを何度も行き来した。水をくんだ状態で旋回の半径や速度を変え、こぼれ方を確認するような動きを見せた。
又吉進沖縄県知事公室長
米軍は訓練の任務を遂行することが最優先で、県民が期待する訓練の抑制が働いていない。騒音防止協定には抵触しないとはいえ、午後10時近くまで飛行することは、訓練自体が米軍の裁量に委ねられているということをあらためて示している。(飛行ルールを定めた)日米合意は守られず、不安におびえながら生活する住民のことを考えると、行政として、責任を感じる。
普天間飛行場の騒音防止協定では午後10時〜午前6時の飛行や地上での活動は禁止されていない。米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限されているだけである。しかし、沖縄人の日本語読解力によると、これもオスプレイにおける日米合意と同じく、制限と禁止の区別がつかないらしい。また、制限するか否かは米軍の裁量であり、プレイヤーが決めるのだから、これにルールは存在しない。
在沖米海兵隊は29日、米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイの飛行訓練を実施し、4機が計8回飛行、うち2機が午後6時以降の夜間に同飛行場を計3回離陸した。日米による騒音防止協定は午後10時以降の飛行を制限しているが、夜間訓練は午後10時近くまで続いた。米軍北部訓練場がある東村高江の集落上空では同8時20分から約1時間、オスプレイが飛行するのが確認され、激しい騒音が鳴り響いた。
夜間飛行訓練が始まって以降、3回の飛行は最多。今後も同時間帯の訓練が恒常的に実施される見通し。
普天間飛行場では午後10時8分ごろまで、オスプレイが回転翼を回し騒音が響いた。同飛行場の騒音防止協定では午後10時〜午前6時の飛行や地上での活動は「米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される」としている。オスプレイ運用に関する安全確保策などの日米合意でも騒音防止協定を順守することが明記されている。
夜間に飛び立ったオスプレイは、午後7時前に名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校裏にある着陸帯で3回離着陸した。米軍伊江島補助飛行場でも午後7時10分〜40分ごろに、3回ほど離着陸を繰り返した。
辺野古で目撃した比嘉英憲さん(69)は「騒音がひどい。高専の子どもたちがかわいそうだ」と話した。こういう感情は、沖縄人のよく使う手だと非難する人が多い。つまり、あらかじめ飛行ルートに学校を造るのである。普天間第二小学校然り、沖縄国際大学然り、宜野湾周辺の住宅や公共施設然りである。まるであたり屋だとされても不思議ではない。
昨日は海兵隊の通常訓練でメディアは大騒ぎである。
在沖米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが29日、名護市のキャンプ・シュワブや金武町の金武ブルービーチ訓練場などで、バケツや貨物のつり下げ訓練を実施した。名護市許田ではバケツをつり下げたまま、基地外の集落上空を飛行しているのを市職員が確認した。キャンプ・ハンセンへ進入する際にも、基地外上空を同様の状態で飛行するのが確認された。
ブルービーチ訓練場内にある着陸帯スワンで、貨物のつり下ろし訓練が実施されたのは初めてで、伊江島補助飛行場に続き県内で2カ所目。
金武町並里区や目撃者によると、オスプレイ1機は29日午後0時半ごろ、同訓練場内の着陸帯スワンに到着。貨物をつり下げたり、下ろしたりする飛行を繰り返した。午後2時55分ごろには、宜野座村の漢那ダム付近のキャンプ・ハンセン上空で隊長機がバケツをつり下げながら北上するのが目撃され、金武町でも、午後3時40分ごろに同機がバケツをつり下げて飛行する様子が確認された。この日、東村高江の北部訓練場メーンゲート付近の着陸帯では10回以上、離着陸が確認された。普天間飛行場ではオスプレイの離着陸やエンジン調整の騒音のほか、海軍のP3C対潜哨戒機の訓練で騒音が激化した。
高知県の嶺北地方は、米軍機の低空飛行訓練で悩まされ続けてきたという。騒音はデータがないので何とも言えないが、墜落の危険性について悩むのは、その人次第の問題だろう。
そうした住民の嶺北地方を中心に、新型輸送機オスプレイ配備と飛行訓練に反対する意見書を可決する市町村議会が相次いでいる。高知県も森本敏防衛相あてに、訓練中止を米軍に要請するよう求める尾崎正直知事名の文書を出した。
米軍の低空飛行ルート「オレンジルート」の直下にあるとされる大川村。大川小中学校の黒瀬忠行校長は、低空飛行の米軍機を「ものすごい音。真上のすぐ近くに飛行機が見え、飛行場の離陸直下にいるような感じだ」と話す。威圧感に教職員でもしゃがみこんでしまうことも。村内の山腹の集落では、目線より下に飛行機が見えることもあるという。
昨年4月から同年秋口までは毎日のように飛来し、一度に2、3機でやってきた。そのときには話し声もまったく聞こえず、「学校や病院の存在を気にしている気配もない」。同村では1994年に墜落事故があり、「1キロもないようなところに落ちている。まかり間違えば学校に墜落もあり得る。低空訓練はやめてもらわないと」と、オスプレイ配備に危機感を示す。
もし、そうなら長野県に墜落した日航機も、また『まかり間違えば学校に墜落もあり得る』のである。そうした航空機に対しても運行を止めてもらうよう要請すべきだろう。
嶺北4町村議会は9月議会でオスプレイの配備と低空飛行に反対する意見書を相次いで可決。「エンジンが停止すれば墜落するしかない欠陥機を日本に配備することは許されない」などと厳しい表現で危険性を訴えた。このほか香美市議会と東洋町議会が配備と訓練飛行中止を求める意見書、高知市議会が配備中止を求める意見書を可決した。
県は先月下旬に要請書を送付。西部の四万十市でも、今月になって沖縄へ移動中とみられるオスプレイが頻繁に目撃されており、市町村から飛行情報を集めている。
■記者の目:沖縄米軍基地問題=福永方人(毎日西部報道部)
◇負担軽減 みんなで考えよう
沖縄県民の反基地感情が最高潮に達している。米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に強行配備され、墜落事故への不安をよそに、日米合意の運用ルール違反とみられる、基地区域外での回転翼(ローター)を上に向けた「ヘリモード」飛行訓練が常態化している。さらに米兵による女性暴行事件も起き、火に油を注ぐ。歴代政権は「基地負担軽減」の甘言を繰り返しながら全国の米軍専用施設(309.64平方キロ)の73.9%が沖縄に集中する現実は動いていない。もはや沖縄から声を上げるだけでは状況は変わらないのではないか。低空飛行訓練が本土にも及ぶオスプレイ問題をきっかけに、沖縄の基地負担をどう軽減するか国民全体で考えるべきだ。
◇封鎖から見えたかつてない怒り
オスプレイが配備された今月1〜6日の前後10日間、普天間飛行場周辺を中心に取材した。これまで、昨年末に政府が普天間移設の環境影響評価書を沖縄県庁に提出した際の攻防などを現場で見てきたが、今回は特に県民の怒りの強さと広がりを感じた。
象徴的だったのは、配備反対の座り込みをする市民らが普天間飛行場の各ゲートを封鎖した行動だ。市民らは9月29日、台風17号の直撃に伴う暴風雨の中、ゲート前に車を集めてバリケードを張った。翌日、沖縄県警に強制排除された際も激しく抵抗し、怒号や悲鳴が飛び交った。抗議活動をまとめる沖縄平和運動センターの山城博治(ひろじ)事務局長は「ここまで激しい闘いは過去にもほとんどない」と話した。
普天間飛行場の野嵩(のだけ)ゲート前で毎朝開かれた抗議集会には、普段は反基地運動に姿を見せない保守系の首長や県議も集まった。座り込み参加者も労働組合や市民団体だけではない。浦添市のアルバイト、砂川和真さん(21)は初めて反基地運動に参加した。茶髪にピアス。中高年が多い座り込みメンバーの中では異色だ。長男が生まれ「(米軍基地の)フェンスに囲まれて育ってほしくない」と友人を誘って毎日、ゲート前に座り込んだ。短文投稿サイトのツイッターなどでもオスプレイを巡る書き込みが増えたという。
テレビドラマや映画の「おばあ」役で知られる女優の平良とみさん(83)も声を上げた。普段は基地問題であまり表に出ないが、普天間飛行場の近くに住み、米軍機墜落への不安や騒音に悩まされている。「子供たちの未来のために危険な物は残したくない」と、9月9日のオスプレイ配備反対を訴える県民大会に参加。インタビューにも応じた。住宅密集地にあり「世界一危険」と言われる普天間飛行場の移設は一向に進まない。「基地がなければオスプレイも来ない。お願いだから、人の住んでいない遠い所へ持っていってほしい」と訴えた。
本土ではこの40年で米軍専用施設の半分以上が返還されたが沖縄では18%にとどまり発展を阻害してきた。沖縄には4万8340人(11年)の米軍構成員(軍人・軍属・家族)がいて、県警のまとめでは米軍構成員の刑法犯検挙件数は復帰翌年の73年から11年までで計約5500件に上る。
島ぐるみの抗議にもかかわらずオスプレイ配備が強行され深い失望が広がる中、米海軍兵2容疑者による女性暴行事件が起きた。県民からは「県内でいくら騒いでも何も変わらない」「もうどうしようもないのかという気持ちにもなる」との声が漏れた。失望は絶望に変わりつつある。
こうした空気は本土にはなかなか伝わらない。本紙を含め、沖縄からの距離が遠くなるほど報道も少なくなる。東京出身の私自身、沖縄の人たちの痛みや怒りは現地で取材して初めて、実感として理解できるようになった。
◇訓練情報交換し思いの共有化も
沖縄の声を日米両政府に響かせるには、まず本土に共感を広げることが必要だろう。低空飛行訓練が全国7ルートで予想され、事故などへの不安が波及していくとみられるオスプレイ問題は、その契機になる可能性がある。まずは各地の訓練情報を交換する市民ネットワークを構築してはどうか。沖縄の抗議活動に参加した市民団体「平和フォーラム」(東京都)事務局の八木隆次さん(47)も「沖縄の思いが全国で共有されるよう動いていきたい」と話す。
沖縄の人たちの我慢は限界に来ていると感じる。基地負担をいかに減らすか本土の人たちも一緒に知恵を絞り、日米両政府に働きかけるべきだ。それは沖縄にさまざまな犠牲を強いてきた本土の務めだろう。議論が活発になるようメディアも努力しなければならないのは言うまでもない。
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森本敏防衛相は米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、現在「すぐに導入する考えはない。日本の安全保障や防衛にどういう意味を持っているのか今勉強しているところだ」と語っている。ただ、オスプレイの沖縄配備を巡って世論の反発が出ている中での森本氏の発言は批判を招く可能性もある。
つまり、導入への阻害要因は沖縄配備を巡っての世論であり、この世論は局地的であり、オスプレイが事故を起こさない限り、反発は小さくなっていくだろう。だから、近い将来、自衛隊へのオスプレイ導入は行われる可能性が高い。同時に、そのオスプレイは東京上空も飛行するのだから、沖縄などの根拠のない恐怖論に基づく配備反対派へのカウンターにもなり得るだろう。