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現場から被告のDNA型が出たからといって犯人と断定できない‐司法研修所が年内にも提言

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 刑事裁判で有罪か無罪かを判断する重要な証拠となるDNA型鑑定をどう扱うべきか。最高裁の司法研修所が年内にも研究報告をまとめる。鑑定の精度が飛躍的に向上し、29日に再審が始まる東京電力女性社員殺害事件でも再審開始の決め手となった。一方、型の一致によって「被告が犯人だ」との予断を抱かせる危険性もはらむ。報告は、鑑定の「威力と留意点」を指摘する見通しだ。

 捜査や裁判でDNA型鑑定の重みが増すなかで、研究は最新の鑑定で再審無罪となった「足利事件」(1990年)などをきっかけに2010年5月に始まった。刑事裁判官3人と大学教授1人が最新の鑑定の仕組みや、結果を扱う上での課題などを体系的に整理。全国の裁判官の指針だけではなく、裁判員となる市民へのメッセージともなりそうだ。

 報告が強調するとみられるのは、鑑定結果を評価する際の留意点だ。

 例えば現場に残されたたばこの吸い殻から検出されたDNA型が被告と一致すれば、「被告が犯人だ」と証明されたようにみえる。だが、それは「被告が現場にいた可能性」を示すだけで、「犯行時にいた」ことの証明にはならない。事件の前や後にいた可能性や第三者が故意に吸い殻を持ち込んだ可能性があり、DNA型鑑定によって「被告=真犯人」とは断定できない。

 報告は、こうしたことを裁判官と裁判員、検察官、弁護人がきちんと意識するよう求める見通しだ。

 さらに、鑑定に疑問が出た場合、再鑑定ができるように血液や毛髪などの試料を残しておく必要性▽鑑定に使える血液などが微量だったり、劣化したりして不完全な鑑定結果しか出ない場合にどう評価するか――などにも触れる予定だ。

 東電事件では、現場にあったコンドームの精液から検出されたDNA型がゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)のものと一致。マイナリさんは強盗殺人罪で起訴され、有罪が確定した。しかし、鑑定技術の進歩により、再審請求審で被害女性の遺留物から別人のDNA型が検出され、再審開始につながった。

 最高裁幹部は「現場から被告のDNA型が出れば、裁判官も裁判員も被告が犯人ではないかと思うだろうが、型が一致したからといっても犯人と断定できない。報告は、その原則を改めて確認する意味がある」と話す。

〈DNA型鑑定〉 
 血液や毛髪、皮膚片などの細胞から取り出したデオキシリボ核酸(DNA)を読み取り、個人を識別する技術。この20年ほどで精度は向上し、別人で型が一致する確率は1990年ごろは「千人に1.2人」だったが、現在は「4兆7千億人に1人」とされる。90年に起きた足利事件では、当時の鑑定で「犯人と元被告の型が一致」とされたが、最新の鑑定で犯人と元被告の型が異なると判明し、再審無罪につながった。各地の再審請求でも再鑑定を求める動きが相次いでいる。


























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