「福島テレビ」の女子アナウンサーが退職して故郷の金沢に戻った。6歳の子どもがいるうえに新たな妊娠が分かったからだが、この“避難”がネットで話題になっている。11月17日付の北陸中日新聞に実名で登場、福島県民が聞いたら「エーッ」という話を吐露したからだ。
例えば――。
〈(震災後)初めて金沢に戻った時、友人が食事に連れ出してくれた。豊富な食べ物、汚染を気にすることもない。「これが普通の生活だったんだ」。涙が出た〉
〈伝えるニュースに「これでいいのか」という疑問がふくらんでいく。福島駅近くでサクランボをほおばる幼稚園児の話題。洗わないまま『おいしい』と言って食べる“安全性”のアピール。「これって放送していいの?」と思わずにいられない〉
記事を読んだ福島県民の胸中は複雑だ。
「彼女は夕方のニュース番組を担当し、原発事故後も視聴者に『汚染は心配ない』というニュースを伝えてきました。彼女がいみじくも言うように『テレビが言ってんだから安全だべ』と考えた人も多かったはずです。笑顔で『安全、安心』の原稿を読みつつ、本心は疑問を感じていたのだとしたら、何なのか、と言いたい」
この元女子アナは、福島テレビに15年勤務し、今年7月に退職した原田幸子さん(37)。いろいろ苦悩したのだろうが、ザンゲするわけでもなく、平然と新聞に出てこられると、県民ならずとも違和感を覚える。
県民を怒らせた「福島テレビ」の女子アナの“逃亡”(日刊ゲンダイ2011年11月21日掲載) - livedoor ニュース
福島県民が怒った? のは逃亡後? のことだが『県民を怒らせた「福島テレビ」の女子アナの“逃亡”』というタイトルはおかしい。逃亡後怒らしたというのでれば、まあ、どうにか物語り的記事としては成り立つだろう。
担当していたニュース番組の、そのニュースの内容に関して、どの程度の権限と責任が原田幸子さんにはあったのだろうか。それがわからないかぎり、この出来事に対しては何も言えないはずである。
福島県民を被害者と規定し、その被害者を権威とする形で自己を権威化し、その権威化した自己を以て他者を避難することが流行りのようである。