橋下徹大阪市長の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、同誌を発行する朝日新聞出版(東京都中央区)は19日、連載を中止すると発表した。
朝日新聞出版
同和地区などに関する不適切な記述が複数あったことを深刻に受け止めた。
朝日新聞社
深刻に受け止めている。
週刊朝日の河畠大四編集長
このまま連載の継続はできないとの最終判断に至りました。橋下市長をはじめとした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます。不適切な記述を掲載した全責任は当編集部にあり、再発防止に努めます。
朝日新聞社
『週刊朝日』が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを深刻に受け止めています。
橋下氏は19日、同誌が次号(11月2日)に掲載する「おわび」の内容を見て、朝日新聞への取材拒否を解除するかどうか判断する考えを示し、公開の場で同紙の見解を求める方針は撤回した。
記事は、同誌が10月26日号で連載を始めた「ハシシタ 奴の本性」。「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と表紙でうたい、ノンフィクション作家の佐野眞一氏らが執筆。1回目は橋下氏の家系図などを掲載した。橋下氏は、記事が特定の地域を「被差別部落」と名指しし、橋下氏の人格否定につなげていると問題視。発売翌日の17日、朝日新聞が記事に対する見解を示すまでは取材に応じないと表明した。
昼の大阪市役所での囲み会見で「次号の内容をみて判断する。次号の内容は朝日新聞グループとしての見解と受け止める」と連載休止を迫っていた橋下市長は、夜に自身のツイッターに「僕は今回権力なんて使ってません。記者会見とツイッターのみですよ」と記した。事実上の“勝利宣言”となった。
ツイッターで橋下氏は、今回の問題で、親会社である朝日新聞を取材拒否とし、その責任を追及したことに関して「週刊朝日が一定の見解を出したので、僕も真意を説明します」と、これまでの経緯を解説した。
橋下市長は立て続けのツイートで「司法手続きによらずにどうやって事を解決するか」「朝日出版社は、今回の記事を悪いなんて全く思っていなかった」「こうなれば朝日新聞社の良識に委ねるしかない」「朝日新聞は建前は週刊朝日とは無関係だと言うだろう。しかし朝日新聞グループとして影響力があるのは間違いない」「だから交渉相手は朝日新聞社だ」と説明した。
そのうえで「これは交渉の鉄則。解決能力のある者を相手にしなければならない」「しかし最初にこれを言ったら進まなくなる。こういうことでした」とした。
発端は、週刊朝日が掲載した、ノンフィクション作家佐野眞一氏と取材班による緊急連載「ハシシタ 救世主か衆愚の王か 橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と題した記事。
橋下市長は、育てられた記憶がない実父の出自や経歴などにも踏み込んだ記事内容に「言論の自由の一線を越えている」と主張し、前日18日には大阪市役所で84分間にわたって、朝日新聞と週刊朝日を糾弾していた。