沖縄県の仲井真弘多知事は19日、県庁で定例記者会見を開き、米海軍兵2人が逮捕された集団強姦致傷事件を受け、21日から訪米した際、米国務省や国防総省の幹部に直接抗議する考えを示した。
今回の事件では、県警が米側より先に2人の身柄を確保しており、起訴前の米兵引き渡しなどを制限する日米地位協定は障害とはならなかった。
仲井真知事は「沖縄に来て、なぜこのような事件を起こすのか。日米地位協定という身分保障から来ているに違いない」と述べ、地位協定改定についても改めて申し入れることを明らかにした。
沖縄県で米海軍の兵士2人が集団強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された事件で、黒岩祐治知事は18日、外務、防衛両省と在日米大使館を訪れ、応対した幹部に遺憾の意を伝え、抜本的、具体的な対応を求めた。
米兵2人は米テキサス州の輸送部隊に所属し、3日に来日。厚木基地(大和、綾瀬市)を拠点に活動し、14日に沖縄入りしていた。同席した大木哲大和市長と笠間城治郎綾瀬市長も「非常に遺憾で許しがたい」などと申し入れた。
黒岩知事は面会後、報道陣に「渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会)の会長として強い憤りの意を表明した。信頼関係に基づく日米関係が揺るがされるような今回の事件は絶対に許してはいけない」と述べた。
知事らは厚木基地周辺9市と県などによる厚木基地騒音対策協議会として、防衛省などを訪問。日米両政府が厚木基地の艦載機部隊を2014年までに岩国基地(山口県)への移駐で合意していることを踏まえ、着実な実施と騒音の軽減を要請した。
米海軍兵による集団女性暴行致傷事件を受け、沖縄市議会の基地に関する調査特別委員会(阿多利修委員長)と北谷町議会基地対策特別委員会(渡久地政志委員長)は18日、事件に対する抗議決議と意見書を本会議に提案することを決めた。沖縄市は19日、北谷町は23日の臨時議会で可決する見通し。
両市町の抗議・意見書は、被害者への謝罪や完全な補償、米軍人・軍属への綱紀粛正や教育の徹底を求める。沖縄市は犯罪を犯した米軍人の取り扱いなどについて定めた日米地位協定の改定を、北谷町は在沖米軍基地の整理縮小・撤去なども求める方向で調整している。可決後は、米軍や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局などに直接抗議する方向で調整する。
沖縄市議会の阿多利委員長は「凶悪な事件だ。繰り返される米軍事件への鬱憤が県民に蓄積している」と述べた。北谷町議会の渡久地委員長は「基地があるゆえに起こった事件。これまで町内でも米兵絡みの事件事故は起こっており、いくら綱紀粛正を徹底すると言われても信用できない」と話した。
森本防衛大臣はアメリカのルース駐日大使と会談し、沖縄県でアメリカ海軍の兵士2人が日本人の女性に乱暴したなどとして逮捕された事件について、具体的な再発防止策を取りまとめ、地元の理解を得ることが必要だという認識で一致しました。
沖縄県でアメリカ海軍の兵士2人が日本人の女性に路上で乱暴し、けがをさせたとして逮捕された事件について、森本防衛大臣は19日午後、東京都内でアメリカのルース駐日大使や在日アメリカ軍のアンジェレラ司令官と会談しました。
この中で森本大臣は、沖縄で事件への強い反発が起きていることを伝え、在日アメリカ軍の綱紀粛正を徹底するよう求めました。
これに対してルース大使は「事件の発生は非常に遺憾だ。アメリカ側としても重く受け止めている」と述べました。
そのうえで、会談では応急措置的な取り組みだけではなく、具体的な再発防止策を取りまとめ、地元の理解を得ることが必要だという認識で一致しました。
会談のあと森本大臣は「ルース大使とは、この種の事件を根絶するために何ができるのかについて、日米間で緊密に調整しながら詰めていくことを確認した」と述べました。
=================
仲井真知事によれば「沖縄に来て、米兵が集団強姦事件をを起こすのは、日米地位協定という身分保障から来ている」としている。とすると、アメリカ国内においては軍人によるによる集団強姦事件はないということである。
大木哲大和市長と笠間城治郎綾瀬市長は、集団強姦事件を「非常に遺憾で許しがたい」としている。普通の人なら暴力事件を許せるとはしないだろう。また私的な事件でもあり、組織とは無関係である。なぜ、その事件を外務、防衛両省と在日米大使館に申し入れているのか? その謎の原因は、黒岩知事の「渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会)の会長として強い憤りの意を表明した。信頼関係に基づく日米関係が揺るがされるような今回の事件は絶対に許してはいけない」とする発言に現れている。アメリカ人が日本国内で起こす集団強姦事件は私的な犯罪だが、こと米軍属の起こす犯罪は組織犯罪であるということだろう。だから、その組織が責任を取るのは当たり前だと言うことなのだろう。
沖縄市議会の阿多利委員長は「凶悪な事件だ。繰り返される米軍事件への鬱憤が県民に蓄積している」と述べているが、今回の集団強姦事件の凶悪度は低いだろう。北谷町議会の渡久地委員長は「基地があるゆえに起こった事件。これまで町内でも米兵絡みの事件事故は起こっており、いくら綱紀粛正を徹底すると言われても信用できない」と話しているが、確かに、今回集団強姦事件を起こしたのは米兵であり、基地があるから米兵がいるのだから、基地がなければ米兵は存在せず、従って米兵による集団強姦事件は起こらないとするのはダイレクトでわかりやすい思考図式である。
この図式は公害問題華やかなりし頃に盛んに用いられた論法である。曰く「公害があるのは工場があるからだ。公害を無くすには国内の工場を全てストップさせるほかない」 極めて名言だと言えるだろうか? しかしこの思考図式は、全工場をストップさせれば、確かに公害はなるなるだろうが、同時に自らの首を絞めることになることを思い浮かべることのできない者の論法だったということである。米軍基地も然りで、それを国内から全面撤去すれば、まわりまわって自らの首を絞めることになるかもしれないといった議論は抜きに叫ばれている。
こうした思考図式の持ち主に、公害問題の頃には、私たち日本人はどう対処してきたか。それを見直す作業が必要だろう。