■広島女児監禁 ナイフで脅し、かばんに(2012年9月5日 読売新聞)
旅行かばんの中に小学6年生の女児(12)を閉じ込めてタクシーに乗車したとして、広島県警広島中央署に4日夜、監禁容疑で現行犯逮捕された東京都世田谷区祖師谷3、成城大2年小玉智裕容疑者(20)が、女児に果物ナイフを見せ、かばんの中に入るよう脅していたことが、県警の調べでわかった。小玉容疑者は容疑を認めており、県警は未成年者略取などの容疑でも調べている。
県警によると、小玉容疑者は4日午後8時50分頃、逮捕現場の広島市中区三川町から西約3キロの同市西区己斐こい本町のバス停付近で、塾を終えて母親の迎えを待っていた女児に果物ナイフを見せ、「静かにしろ」と脅迫。人通りのない路地に連れ込み、持っていた旅行かばん(高さ、奥行き各30センチ、横70センチ、ポリエステル製)を広げて「正座の状態で中に入れ」と強要し、女児を押し込んだという。
小玉容疑者はタクシーに乗り込む際、かばんをトランクに入れ、運転手にはJR広島駅前に行くよう告げた。その後、トランクから聞こえる声に運転手が気づき、事件が発覚した。
女児は身長1メートル50、体重30キロほど。けがはなかった。「ナイフで脅され、言われるまま、かばんの中に入った」と話しているという。
捜査関係者によると、小玉容疑者は逮捕時、女児から取り上げた携帯電話を持っていたという。4日夜はJR広島駅前のホテルを予約しており、県警は女児を連れ込もうとしていた可能性もあるとみている。
女児を救ったタクシー運転手、星山寿幸さん(63)は5日未明、読売新聞の取材に応じ、「信号で停車中、トランクから『出して』という声がはっきりと聞こえた」と、当時の様子を生々しく証言した。
星山さんによると、小玉容疑者が広島市西区で乗車したのは4日午後8時50分頃。持っていた旅行かばんが重そうだったので、トランクに入れるのを手伝った際、温かい感触があった。中身は何だろうかと、不審に思ったという。
小玉容疑者は「広島駅前の福屋(百貨店)まで」と目的地を告げた後は無言だった。しばらくしてトランクから物音がしたため「犬でも積んどるんか」と尋ねた。しかし小玉容疑者は返事もせず、左右をきょろきょろするばかりだった。
「出して」。トランクから人の声がはっきりと聞こえたのは、タクシーを走らせてから約10分後、信号で停車した時だった。
「人間を詰めとるんか」。そう問い詰めると、小玉容疑者は「ここで降りる」と言って突然ドアを開け、逃げようとしたので、とっさに自分もタクシーを降りた。小玉容疑者の両手をつかんで後部座席に押し込み、通りかかった男性に「どうも後ろに人が閉じこめられとるみたいなんじゃ」と、110番を頼んだ。
「出して、出して」。トランクから聞こえる声は次第に大きくなり、110番した男性が旅行かばんのファスナーを開けると、中から女児が立ち上がった。何も話すことができず泣いているような表情だった。
この間、小玉容疑者は後部座席で黙ったまま、観念した様子だったという。
星山さんは「もし気づかなかったらと思うと、ぞっとする。女の子が、かばんから出てきた時は『よくこんな所に入っていたな』と驚いたが、最悪の事態を防げてよかった」と、胸をなで下ろした。
■広島・小6監禁:「いたずら、頭よぎった」容疑者供述(毎日新聞 2012年09月05日)
広島市の小学6年の女児(12)が旅行かばんに入れられ、星山寿幸(ひさゆき)さん(63)運転のタクシーのトランクに入れられ連れ去られた事件で、監禁容疑で逮捕された成城大2年、小玉智裕(ともひろ)容疑者(20)=東京都世田谷区祖師谷3=が「(わいせつ目的は)監禁する時はなかったが、タクシーの中で女児にいたずらしようという考えが頭をよぎった」などと供述していることが広島県警への取材で分かった。
県警は6日に強盗と未成年者略取、監禁の容疑で送検し、都内の自宅を捜索する方針。
県警によると、小玉容疑者は女児を連れ去る際、果物ナイフ(刃渡り約9.5センチ)を見せて「静かにしろ」と脅したほか、ガムテープで両手を縛っていたことも判明。女児は自力でテープを切り、けがはなかった。
動機について、小玉容疑者は当初「刑務所に入りたい」と話し、その後「頭を整理して話したい」と供述するなど揺れており、県警は動機や連れ去りの経緯などを慎重に調べている。