イスラエル南部のエジプトとの国境付近で18日朝、イスラエル側の防護壁の建設現場を、エジプト側から越境したとみられる武装集団が銃撃し、イスラエル人労働者1人が死亡、軍の応戦で武装集団の2人が死亡した。
防護壁は、エジプト・シナイ半島からの武装勢力や不法移民の侵入を防ぐ目的で建設されている。イスラエル軍によると、武装集団のうち、3人ほどがイスラエル側に逃げこみ、行方がわからなくなっているという。
イスラエル軍は同日午前、パレスチナ自治区ガザを空爆。ガザからの情報によると、イスラム聖戦のメンバーら2人が死亡した。同軍は、エジプト国境での事件とは無関係としている。
シナイ半島ではムバラク政権の崩壊後、治安が急速に悪化。イスラエルに天然ガスを供給するパイプラインがたびたび爆破され、同半島経由でイスラエルに侵入したとみられる武装集団による連続襲撃事件も起きている。
一方、エジプト大統領選ではパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの母体のムスリム同胞団系の候補が勝利宣言しており、イスラエルは両国の平和条約の見直しにつながりかねないと警戒している。バラク国防相は18日、「誰が選ばれても、エジプトがイスラエルとの条約と国境の治安に責任を持つことを期待する」と述べた。