米ニューヨーク市のブルームバーグ市長は、レストランなどでの炭酸、甘味飲料の大量販売を規制する計画だ。飲料業界は強く反発しており、同市長は市を「過保護国家」にしようとしている、との批判が再燃しつつある。
市長の側近が5月30日夜に確認したところでは、市長は市の保健条例を修正して、レストランなどでカップやボトルで販売されるこうした飲料の容量の上限を16オンス(474ミリリットル)とする計画だ。市長は、これらの飲み物によって市民の肥満率が上昇していると主張しているという。
米国ではファストフードの店舗を中心に、1リットル近いサイズでソフトドリンクを提供することが珍しくない。同市はこうした店舗で販売できるカップやボトルの容量を最大約470ミリリットルに制限。1回の購入で摂取するカロリーを抑えたい考えだ。規制はレストラン、移動販売店、デリ、それに映画館やスタジアムなどの販売店が対象になる。スーパーやコンビニなどでの販売は対象外。果汁の多い飲料や、炭酸飲料でも低カロリータイプのものなどは除外する。違反した業者には、200ドル(約1万6000円)の罰金を科す方針。16オンスはほとんどの炭酸飲料缶の容量より多いが、ほとんどのボトルよりは少ない。
市長の提案は6月12日に保健理事会に提出され、3カ月間意見を募ったあとに表決にかけられる。理事会メンバーは全員、市長が指名していることから、提案は承認されると見られている。
この提案はニューヨーク・タイムズ(電子版)とニューヨーク・ポストが30日夜に最初に報じた。
市の保健局は違反通告の前に6カ月を置く計画で、実際の施行は来年初めになる公算が大きい。理事会表決の9カ月後に導入される罰金は200ドル(1万5700円)。提案は議会に付されず、基本的に市長権限で成立する。
ニューヨーク清涼飲料協会広報担当者・ステファン・フリードマン
やり過ぎだ。また始まったようだ。ニューヨーク市保健局はソフトドリンクへの強迫観念から、過度の措置を取ろうとしている。米国民の食事における砂糖添加飲料のカロリーが占める割合は小さく、しかも低下している。今や真剣な保健の専門家が出てきて実際に肥満を抑制できる解決策を探るべき時だ。こうした提案はこの問題で必要とされる難しい作業を混乱させるだけだ。
規制される甘い飲料は、8オンス当たり25カロリーを上回る砂糖・甘味料を含み、また、ミルクないしミルク代替物含有量が51%を下回る清涼飲料と定義されている。ダイエット炭酸飲料やミルクシェーク、甘味料の入ったラテは16オンスを超えても規制されない。
市はこの規制を提案するに際して一連のデータを指摘。それによると例えば、市の成人の58%、公立学校の8年生以下の40%近くが肥満あるいは太りすぎだとされている。市長の側近は、肥満とカロリー消費の増加の最大の原因は甘い飲料だと述べた。
ブルームバーグ市長は2002年、レストランとバーを禁煙にするよう市議会に説得し、03年に実施された。この提案は最初は市民の広範囲な批判を浴びたが、その後は称賛されるようになり、市長はこれを最良の成果の一つと見ている。市長はまた、トランス脂肪酸と塩分の摂取抑制策も打ち出した。