“橋下塾”に2000人超なぜ政治塾ブーム?
24日、大阪市の政治家による大阪維新の会、維新政治塾が開講し、受講生2025人が集まった。そこで今回は、「政治塾ブーム?なぜ今、受講者が殺到してるのか。」というテーマについてフカボリ。した
会社員・医師・主婦…“橋下塾”に2000人殺到
24日、大阪市の政治家が自ら塾長を務める大阪維新の会 維新政治塾が開講した。全国46都道府県から集まった受講生は2000人超。受講生は、会社員、医師、主婦といった政治とは無縁の生活を送ってきた人がほとんどだった。
会社員・医師・主婦…“橋下塾”に殺到の理由
維新政治塾の受講生50人にアンケートを実施。職業は様々で、政治とは無縁の生活をしてきた人が9割を占めた。動機も人によって様々だった。
政治アナリスト・伊藤惇夫
政治家は国政進出を目指し、塾生の中から選抜し、総選挙に候補者を擁立させる。
新たに政治塾を作る動きは、維新政治塾以外にもある。来月には滋賀県と愛知県で続々と誕生する予定。どれも定員を大幅に上回る応募があるという。
伊藤惇夫
今のスケジュールでは促成栽培のイメージがつきまとってしまう。
“橋下塾”に2000人超 過去の政治塾との違い
過去にあった政治塾について紹介。政治塾の原点といえるのが、江戸末期に吉田松陰が講義した松下村塾。明治維新に関わる重要な人物を輩出した。1979年には、松下幸之助が松下政経塾を創設し、前原誠司や野田佳彦を輩出した。
スタジオ解説
維新政治塾の開講式で受講生50人にアンケートした結果についてスタジオで解説。次期衆院選に出馬したいか聞いたところ、16人が「はい」と答えた。維新政治塾では、受講生2000人から約300人を出馬させ、200議席の獲得が目標と言われている。一方で供託金の自己負担という現実味のない部分もある。
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が次期衆院選に向けて候補者を養成する「維新政治塾」が24日、開講した。全国から集まった受講生は約2000人。5月下旬から6月上旬をめどに約800〜1000人を「塾生」として選抜、街頭演説などを課して次期衆院選の「候補者予備軍」を絞り込む。既成政党離れが加速するなか、どんな人が、どんな思いで政治塾に集まったのか。手探りの候補者選びが始まった。
初日は堺屋太一・元経済企画庁長官と中田宏・前横浜市長が、非公開で維新の政権公約「維新八策」の大きな柱である「統治機構改革」をテーマに講義。中田氏によると、「大阪都構想」や道州制、首相公選制について説明し、「我々はお茶を濁すような物事の決定の仕方はしない。今の国会議員とは違う質を求めており、本当に覚悟しない限りやめた方がいい」と話した。質疑応答では、競い合うように次々と手が挙がったという。
中国・天津市から参加した日本語教師の日本人男性(42)は、橋下氏が開講式で強調した「自立する個人 自立する地域 自立する国家」が印象的だったという。「維新なら変えられるし、改革に関わりたい。頑張って中国から飛行機で通いたい」と意欲を見せた。
福岡県の40代の保守系市議は「地方政治を変える手法を勉強したい」と、所属会派に内緒で参加。「講義は刺激になったが、地元は農村なので、学んだことをそのまま実践するのは難しい」と語った。
維新は次期衆院選で300人の候補を擁立し、200議席の獲得を目指す。橋下氏は開講式で、既成政党について「政治家がいくら変わっても動かない。政策が実現される気配も見受けられない」と批判し、対立姿勢を鮮明にした。
今後は、6〜7月に街頭演説やディベートなどを課して「候補者予備軍」を絞り込むスケジュールを描く。年内に衆院解散があれば、直ちに「卒塾」させ、予備軍も含めて候補者を公募。既成政党の国会議員にも、維新からの立候補を呼び掛ける。橋下氏は「必ず地方の動きから中央の体制がひっくり返る。これは歴史の繰り返しだ」と強調した。
一方で、懸念するのは衆院解散が来年以降に先延ばしになったケースだ。維新への期待感は知名度のある橋下氏頼みの側面が大きい。6〜7月に予定している候補者予備軍の絞り込みを延期し、来年以降も講義を続けて発信力を保つ構えだ。維新幹部は「選挙時期が遅れても、既成政党が有権者を引きつける政策を打ち出せるとは思えない」と強気の姿勢を示すものの、「今の勢いを維持するのはきつい」と本音も漏らす。
維新との選挙協力を模索する公明からも「年内解散がなければ維新は息切れしかねない。今後のつきあい方も変わるかもしれない」(大阪府本部幹部)との声が出ている。
◇自信失い、振り回される既成政党
「政治を使い捨てと考えずに大事に養成すればいい。どういう方が集まって、どういうふうに巣立っていくかを見たい」
自民党の谷垣禎一総裁は24日、維新政治塾について、大阪市内で記者団に対し今後の動向を注視していく考えを示した。一方、維新との連携については「国政をどうしていくか、よく分からない。協力できるところはしていったらいい」と述べるにとどめた。
自民党総裁の歯切れの悪い発言は、維新を見詰める既成政党側の複雑な視線を象徴している。毎日新聞の3月全国世論調査で政党支持率をみると、民主党14%、自民党13%。2大政党がそろって低支持率に苦しむなか、維新政治塾に2000人余りの受講生が集まった現実こそ、既成政党への不信感を映し出しているからだ。
維新は次期衆院選に向けた政権公約「維新八策」のたたき台で、「決定でき、責任を負う統治機構」をうたった。参院で野党が多数を占めるねじれ国会を抱え、意思決定が遅れがちな国政への問題提起に他ならない。このまま衆院解散・総選挙になだれ込めば、維新優位の展開になりかねず、民主党の輿石東幹事長らは解散先送りを模索している。
民主党幹部は「維新の会が上り坂の時に解散することはない。早くても秋以降だ」と漏らす。一方、次期衆院選に向けた維新との選挙協力で、他党に先行する公明党内にも「『橋下人気』がどこまで続くかも見極める必要がある」(党幹部)との指摘が出始めている。
民主党は23日、橋下氏が掲げる「大阪都構想」などの実現に向け、新法の骨子案をまとめた。自民、公明両党も地方自治法改正案を月内にも国会に共同提出する考え。みんなの党を含め主要政党が都構想への取り組みを急ぐのは、維新の取り込みと併せ、都構想などが衆院選で争点化しないよう布石を打つ思惑もある。
各党とも党勢低迷に自信を失い、維新の動向に目を凝らし、振り回される構図だ。輿石氏は24日夜、訪問先の中国・北京で同行記者団に対し、「維新が期待される空気はある。だからこそ、民主党、それから自民党も含めて既成政党がきちんと政策で国民に応えていくことに尽きる」と述べ、まず各党の実績づくりが先決との認識を示した。
橋下徹大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」が次期衆院選に向けて候補者養成のため開講した「維新政治塾」について、兵庫県の井戸敏三知事は26日の定例会見で「維新の会の名前だけで選挙に臨んでも、有権者の理解を得るのは難しい」と述べ、開講式に2千人超が集まった政治塾を牽制した。
井戸知事は「選挙は立候補者が有権者の理解をどれだけ得られるかが基本だ」とした上で、「政治塾で何をどれだけ学ぶかが問われている。まだ、参加者の将来の活動を予測できる段階ではない」と言及。衆院選では、政治塾の参加者それぞれの政策面での力量が試されるため、どれくらいの影響力を持てるか未知数との見解を示した。
(2012年3月25日 毎日新聞「維新政治塾:「橋下ブランド」に全国から2000人」より)
(2012.3.26 MSN産経ニュース「維新政治塾「現時点で影響力は限定的」 井戸知事が牽制」より)