米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が12日投開票され、無所属新人で前県議の佐喜真淳氏(47)=自民、公明、改革推薦=が、無所属で元市長の伊波洋一氏(60)=共産、社民、沖縄社会大衆推薦=を破り、初当選した。焦点の普天間移設問題で、佐喜真氏はかつて同県名護市辺野古への移設を容認していたが、市長選では県外移設を訴えており、政府は今後も厳しい対応を迫られそうだ。
選挙戦で佐喜真氏は、仲井真弘多知事の支援を受けるとともに、市政刷新のほか経済振興を中心に訴えた。告示直前に発覚した沖縄防衛局長による講話問題の影響などが予想されたが、経済界を中心に支持を拡大し激戦を制した。
伊波氏は「普天間飛行場の即時閉鎖・返還と県外・国外への移設を日米政府に強く要求する」と主張。市長時代の実績や日米安保条約の見直しも強調したが及ばなかった。
民主党は、普天間問題をめぐる党内の意見の調整がつかず、自主投票を決めていた。
(2012年2月13日 時事通信社「宜野湾市長に佐喜真氏=普天間の県外移設主張―自公推薦、元市長破る・沖縄」より)
『焦点の普天間移設問題で、佐喜真氏はかつて同県名護市辺野古への移設を容認していたが、市長選では県外移設を訴えており、政府は今後も厳しい対応を迫られそうだ。』
移設容認から県外移設へは沖縄県知事も同じである。知事には「10年20年と時間をかければ別だが現状では不可能だ」とする趣旨の見方があるが、佐喜真氏も同じだろう。だから政府は「今後も厳しい対応を迫られる」のではなく、辺野古移設はアメリカの了解のもとで時間をかければいい。また、普天間飛行場の移設に反対する国民はいないだろうが、地元へ誘致してもいいとする自治体も存在しないだろう。いわゆる沖縄想いの政治家ですら、演習の地元誘致は出来ても施設そのものの誘致はできないだろう。だから県外移設は幻想だともいえる。
『仲井真弘多知事の支援を受けるとともに、市政刷新のほか経済振興を中心に訴えた』
佐喜真氏の経済新興の目玉は箱物作りである。市政刷新の内容がどういうものかわからないが、基地対策費用の積極的活用も経済振興のうちに挙げているから、それを実施すれば、そのために住宅密集地にしたという今までの経過の継承となり、それが普天間飛行場の危険性を増した原因であり、その行政のあり方をを再び強化するとということは、市政の刷新どころか回帰であるに過ぎない。