中島哲也監督の『告白』以来3年ぶりとなる最新作『渇き。』が2014年夏に公開されることが6日、わかった。主演は役所広司、ヒロインはオーディションから抜擢された新人・小松菜奈。そのほか、妻夫木聡、オダギリジョー、二階堂ふみ、橋本愛、中谷美紀ら豪華キャストが出演する。
原作は『第3回このミステリーがすごい!大賞』(2004年)を受賞した深町秋生氏のデビュー作『果てしなき渇き』(宝島社刊)。突如失踪した優等生の娘を元・刑事である父親が捜索に乗り出し、娘の跡をたどるうちに驚愕の事態に巻き込まれていくサスペンスミステリー。中島監督は「悪夢のような原作です。映画化なんて絶対無理!ですが……最低最悪の主人公を演じる役所広司さんの勇気、新人女優・小松菜奈さんとの劇的な出会いが、僕にこの物語の映画化を決意させました。日本映画にかつて無いバイオレンス・ファンタジーを目指し、現在、スタッフ・キャスト血まみれで撮影中です」とコメント。映画化に際しては、中島監督自ら脚色に参加し、原作の衝動的なエネルギーはそのままに、衝撃的なエンターテインメントに昇華させるという。
突然失踪した娘を探しながら、失ってしまった“家族像”を執念で取り戻すべく奮闘する主人公・藤島昭和役を演じる役所は、「中島監督の作品は、常に挑戦的で刺激的な映画です。久しぶりの中島組の仕事に緊張しています。この、果てしなく渇いている、狂気と暴力。とてつもない物語のようですが、毎日のように凶悪事件のニュースが報じられている今を思えば、この物語はこの国の一部をリアルに描いているのかも知れない、と感じてしまいます。孤独から抜け出すために、壊れてしまった家庭を再生しようと、もがけばもがく程、何もかもが壊れていく。そんな愚かで、孤独な男の虚しさを懸命に演じたいと思っています」とコメントする。
藤島の娘(高校3年生)であり、容姿端麗の優等生・加奈子に大抜擢された小松は、同作で映画初出演。「中島監督の作品に出演できるなんて今でも信じられません!!役所さんをはじめ素晴らしいキャストの方々と共演させていただく事には、今は正直すごく不安な事ばかりです。私にしかできない加奈子を演じたいです。全力でぶつかって、一日一日を楽しみながら色んな事を学んでいけたらいいなと思っています」と意気込む。
そのほか、ベテラン、中堅、若手の実力派俳優たちが顔をそろえる共演陣では、事件の重要参考人となった藤島に密着する元部下である刑事・浅井役を妻夫木。浅井と同じ署に勤め、藤島が失った“家族”をなにより大事に考える刑事・愛川役をオダギリ。加奈子の同じ中学時代の不良少女の遠藤役を二階堂。加奈子の失踪の原因を藤島に匂わす高校の友人・森下役を橋本愛。加奈子の中学時代の担任であり、加奈子の過去をたどる上での重要な枠割の東役を中谷が演じる。