沖縄への追加配備のため山口県の岩国基地を離陸した、アメリカ軍の新型輸送機オスプレイ2機が、午後4時半すぎに普天間基地に相次いで到着しました。残る10機は5日までに配備される見通しです。
山口県の岩国基地を離陸したオスプレイ2機は、およそ2時間かけて沖縄まで飛行し、午後4時35分と40分にそれぞれ普天間基地に着陸しました。機体は北側から普天間基地に近づき、プロペラを上向きにした状態でヘリコプターのように垂直に着陸しました。
今回追加配備されるのは合わせて12機で、防衛省によりますと、残りの10機は5日までに沖縄に配備される見通しだということです。普天間基地のオスプレイは、去年10月に配備された12機と合わせて、今回の追加配備で24機体制となり、老朽化したヘリコプター(シーナイト)と交代させるアメリカ軍の計画が完了することになります。
普天間基地を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は、基地を一望できる市役所の屋上からオスプレイの到着を確認しました。2機のオスプレイが上空に現れると、佐喜市長は、沖縄県の基地対策課の担当者と共に、双眼鏡を使ってプロペラの向きなどを確認していました。オスプレイの運用ルールでは、プロペラを上向きにした飛行は、運用上必要な場合を除いて軍の施設の区域内に限るなどとされていますが、佐喜真市長らは、到着した2機は区域の外でプロペラが上向きになっていたと指摘していました。佐喜真市長は「私が見たかぎりは、きょうの飛行もルール違反ではないかと思っている。今までも安全性が担保されていないということで、市民大会などを開いて配備計画を見直すよう求めてきたが、新たに配備されるのは残念でならない」と話していました。
オスプレイの追加配備について、沖縄県の仲井真知事は3日午後、報道陣に対し、「県民の不安が払拭(ふっしょく)されないまま、オスプレイを沖縄に持ってくるのは遺憾だ。日米合同委員会で決められた運用ルールもあまり守られていないようであり、守ってくれとしっかり言っていくしかない」と述べました。
また、普天間基地の移設先とされている名護市の稲嶺進市長は、「県民が反対を訴えているにもかかわらず追加配備を強行するという、民意を無視した政府のやり方には強い憤りを覚える。危険極まりないオスプレイの強行配備を絶対に認めるわけにはいかず、日米両政府に対し配備撤回を強く求める」というコメントを出しました。
オスプレイが普天間基地に配備されたのは、去年10月。老朽化したヘリコプターの後継として、12機が導入されました。
沖縄県内では、基地負担の増加や安全性への不安を指摘する声が相次ぎ、配備の1か月前には大規模な県民大会が開かれ、計画の撤回を求めました。一方、日米両政府は、「可能なかぎり人口密集地の上空を避けて飛行する」など、運用ルールを設けることで合意。オスプレイは計画どおり配備され、沖縄本島の各地で物資の輸送や兵士をつり下げての飛行など訓練を本格化させました。
ことし3月からは、山口県の岩国基地を拠点に本土での飛行訓練も開始。タイや韓国など海外にも派遣され、活動の範囲を広げています。
訓練の本格化に伴って、騒音被害を訴える声が各地で相次ぎ、キャンプハンセンを抱える宜野座村などの自治体が新たに測定器を設置し、チェックする動きが広がっています。
運用ルールを巡っても、沖縄県と関係市町村が調査に当たり、目視や写真などで確認した結果、配備から2か月間だけでも人口密集地の上空を飛行するなどルールが守られていないケースが318件確認されたとして去年12月、政府に検証を求めました。これに対し防衛省は、追加配備が迫る先月30日になって、「日米合意に違反する飛行は確認できなかった」という調査結果を沖縄県に伝えていました。