<水泳世界選手権>◇第10日◇29日◇バルセロナ◇女子100メートル背泳ぎ準決勝
水泳の世界選手権第10日は29日、バルセロナで競泳の女子100メートル背泳ぎ準決勝が行われ、寺川綾(ミズノ)は59秒80で全体4位で決勝に進んだ。
女子100メートル平泳ぎ準決勝の鈴木聡美(ミキハウス山梨)は、1分7秒83の全体12位で敗退した。
女子競泳陣最年長の寺川綾(28=ミズノ)が、決勝に進んだ。前半50メートルを28秒99の2位で折り返し、59秒80の準決勝1組3位でゴール。 「もうちょっと記録を上げたかった」と悔しがったが、全体の4位で決勝に残った。
昨年のロンドン五輪では銅メダルを獲得した種目だが、世界選手権ではまだメダルはなし。30日の決勝の目標を聞かれて「メダル。それだけです。明日もう一発にかけたい」と自らに気合を入れていた。
水泳の世界選手権第10日は29日、当地で行われ、競泳女子100メートル背泳ぎ予選は、ロンドン五輪銅メダルの寺川綾(ミズノ)が1分0秒09をマークし、全体7位で準決勝に進出した。赤瀬紗也香(日体大)は1分2秒51の全体28位で敗退した。
男子100メートル背泳ぎ予選は、ロンドン五輪銅メダルの入江陵介(イトマン東進)が53秒66の全体4位、18歳の萩野公介(東洋大)が53秒94の全体7位でともに通過。萩野は男子200メートル自由形予選にも出場し、1分47秒33の全体4位で準決勝に駒を進めた。女子100メートル平泳ぎ予選は、ロンドン五輪銅メダルの鈴木聡美(ミキハウス山梨)が1分7秒79の全体11位で通過したが、16歳の渡部香生子(かなこ)=JSS立石=は1分9秒28の全体27位で落選した。
第9日は28日、競泳男子400メートル自由形決勝で、予選4位の萩野公介(東洋大)が3分44秒82の日本新記録で2位に入り、日本勢の今大会メダル第1号となる銀メダルを獲得した。この種目の世界選手権メダル獲得は史上初で、五輪、世界選手権を通じても1960年ローマ五輪で銀メダルを獲得した山中毅氏以来、53年ぶりの快挙となった。
男子100メートル平泳ぎ準決勝は、予選3位タイの北島康介(日本コカ・コーラ)が59秒92の全体8位で決勝に進出。男女の400メートルリレー決勝で日本は、女子(上田、山口、内田、松本)が3分39秒45で7位。史上初の決勝進出を果たした男子(塩浦、小長谷、藤井、伊藤)は3分14秒75で8位だった。
2大会連続のメダル獲得を狙う寺川の世界選手権が始まった。女子100メートル背泳ぎは、予選7位発進。「(ロンドン五輪以来)1年ぶりの国際大会の、1番目のレースという難しさもあった」とタイムは平凡だったが、表情は明るかった。
五輪や世界選手権では、1種目につき原則として予選、準決勝、決勝の3レースを泳ぐ。「1発目なので、どれくらい抑えていけばいいのか」と考えていたという。だが、ロンドン五輪の予選と比べて0秒27も遅く、「(スタート時の)バサロキックをゆっくりし過ぎた」と反省した。「集大成」と位置づけていた同五輪後、現役を引退することも考えた。だが、自分と向き合ったり、周囲に相談するにつれて「また泳ぎたい。スイマーとしての自分が一番自分らしい」と思うようになり、昨秋に現役続行を宣言した。
その後は、指導する平井伯昌ヘッドコーチも驚くほどの躍進。日本選手権で自身が持つ50メートル背泳ぎの日本記録も塗り替えた。「夏(世界選手権)のことを考えてスタートしたわけではなく、これまでポンポンと来たので今はすごく難しい」と寺川。五輪の重圧とはまた違った新たな刺激の中で表彰台を目指す。【芳賀竜也】
北京五輪で8冠に輝き昨季で引退したマイケル・フェルプス(米国)のように、1大会で複数種目に出場する「マルチスイマー」を目指している萩野にとって、初日の男子400メートル自由形で得た銀メダルはこの夏の序章に過ぎない。チームメートによると、ロンドン五輪の初日で銅メダルを獲得した際は大喜びだった萩野だったが、今回は祝福に謝辞を述べた程度だったそうだ。
大舞台に強いのも萩野の魅力だ。6月末のエントリー種目発表後、上野広治・日本代表総監督は「初日の400メートル自由形で銅メダルが取れるか期待したい」と語った。これに対し、平井伯昌ヘッドコーチですら「そんなに簡単に取れないし、甘くない」と疑問視。だが、萩野の仕上がりは2人の想像を大きく上回った。「自分のペースでレースを運べなかったが、一度経験したので、次はばたつかないようにしたい」と萩野。視線は次のレースに、そして次の表彰台へと向かっている。