防衛力整備の基本方針となる「防衛計画の大綱(防衛大綱)」の見直しに向けた政府の中間報告の概要が25日、分かった。沖縄県・尖閣諸島などの防衛のため「機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)を確保することが重要」と指摘。離島奪還作戦を遂行できる部隊の育成や装備の充実、離島へ隊員を運ぶ輸送力の強化を検討する考えを示した。
また重視すべき項目として、警戒監視能力を向上させるための無人偵察機導入やサイバー攻撃への対処、大規模災害への対応などを列挙。離島防衛の強化について、陸・海・空3自衛隊の連携の重要性を踏まえ「防衛省統合幕僚監部等の機能・役割について改めて検証」するとした。北朝鮮の弾道ミサイル開発に対して「総合的な対応能力を充実させる」とし、敵基地攻撃能力の保持も検討対象とする考えをにじませた。
中間報告は26日公表する予定。防衛省内で進めている省改革の議論などを踏まえ、12月に新たな大綱を発表する。
およそ10年先を見据えた防衛政策の基本指針である「防衛計画の大綱(防衛大綱)」見直しに向け、防衛省がまとめた中間報告の概要が24日、分かった。中国の海洋進出や尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での挑発激化を念頭に、「機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)を確保することが重要」と明記し、自衛隊に離島奪還作戦を遂行できる海兵隊の機能を持たせることが必要だとした。
中間報告では、日本を取り巻く安全保障環境の悪化を踏まえ、今後の防衛力整備の優先事項を明確化。(1)警戒監視能力の強化(2)島(とう)嶼(しょ)部攻撃への対応(3)弾道ミサイル・ゲリラ・特殊部隊への対応(4)サイバー攻撃対応(5)大規模災害対応(6)統合運用強化(7)情報機能強化(8)宇宙空間の利用−を重視すべき項目として列挙した。
島嶼防衛では「航空優勢や海上優勢を確実に維持することが不可欠」と指摘。現行の離島防衛専門部隊を強化するとともに、部隊を迅速に展開させるため、民間船舶の活用を含めた輸送力の充実・強化を進めるとした。
警戒監視能力では、各種事態を早期に察知するため「広域における常時継続的な警戒監視の強化に資する高高度滞空型無人機の導入などを検討」するとし、米軍が運用している「グローバルホーク」のような無人偵察機を導入する方針を示した。
北朝鮮などの弾道ミサイル対応については「弾道ミサイル対処態勢の総合的な向上による抑止・対処能力の強化」を掲げ、明記は避けたものの、弾道ミサイルの発射元をたたく「敵基地攻撃能力」の保有に含みを持たせた。
中間報告は26日に公表される予定。政府は中間報告をベースに本格的な検討を進め、年末に新たな大綱を策定する。