英国のウィリアム王子(31)の妻、キャサリン妃(31)が22日午後4時24分(日本時間23日午前0時24分)、ロンドン市内の病院で男児を出産した。2011年春に結婚した夫妻にとっての第1子で、チャールズ皇太子、ウィリアム王子に次いで王位継承順位が3位になる。
英王室が同日、男児の誕生をバッキンガム宮殿の前に掲示して公表した。男児の体重は8ポンド6オンス(約3800グラム)。
英王室は昨年末にキャサリン妃の懐妊を公表し、出産予定を「7月中旬」としてきた。出産まで秒読み段階に入ったここ数日は世界中のメディアが病院前に陣取り、報道競争を繰り広げた。病院は故ダイアナ元妃がウィリアム王子を産んだ場所で、王位継承者が2代続けて産まれる場所として話題を呼んだ。
キャサリン妃が出産したロンドン市パディントン地区のセント・メアリー病院周辺にも多数の市民が集まった。王宮外の病院で世継ぎを出産するのは、ダイアナ元皇太子妃に続き2人目。「将来の英国王」が誕生した病院とは、どんな所なのか。
複数の英国メディアによると、同病院は1845年に設立され、一般市民の受診も可能だ。エリザベス女王の元主治医が勤務し、チャールズ皇太子(64)の妹ら王室メンバーも受診するなど王室との縁が深い。ダイアナ元皇太子妃がウィリアム王子とヘンリー王子(28)を出産したことでも知られる。
キャサリン妃が入院、出産したスイートルームの料金は出産費用を含め1泊当たり5千500ポンド(約84万円)。さらに1日ごとに1千ポンド(約15万円)の追加料金がかかる。
部屋には衛星放送が受信可能なテレビやラジオ、冷蔵庫が完備され、無線LANによるインターネット環境も整えられている。プライバシーを守るための個別の分娩(ぶんべん)室のほか、分娩用プールも併設されている。食事は有名ホテルで修行を積んだシェフらが、妊婦それぞれの必要摂取カロリーに合わせて調理。豊富なワインリストも用意されており、子供の誕生を祝ってシャンパンで乾杯することもできるという。
かつて王室の出産には、内務相や英国国教会のカンタベリー大主教らが証人として立ち会うのが慣例となっていた。控えの間には主要閣僚らも待機し、産声を聞いて出産を確認し、子供がすり替えられるのを防いだともいわれる。こうした慣習も時代とともに変化し、今回はウィリアム王子が出産に立ち会った。キャサリン妃と男児は、順調にいけば現地時間の23日にも退院する。