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サポートの速さを欠き、プレッシャーの掛け方が甘い日本 ブラジルとの差、明確に

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 昨年10月にブラジルに0―4で敗れたときと比べて、日本がどう進歩しているのだろうと考えながら試合を見ていたが、残念ながら進歩した点は見つからなかった。正直に言うと、がっかりした。ホームで本気を出してきたブラジルに全く歯が立たなかった。

 最近の傾向だが、日本はダイレクトのパスが少なかった。サポートが遅いので選手間の距離が空いてしまい、ダイレクトのパス交換ができない。縦に蹴ったボールが前線につながったとしてもフォローがないから、そこでつぶされてしまった。このレベルの戦いでは1対1で突破できる力はないのだから、サポートを速くして数的優位をつくらないと何も起こせない。

■守備から攻撃へ切り替え速く

 実をいうと、そこがブラジルとの大きな差だった。ブラジルは守備から攻撃への切り替えが速く、しかも必ずサポートがつく。近くにサポートがあるからパスする相手がすぐに見つかり、スムーズな逆襲速攻ができる。

 ブラジルは別にトリッキーなプレーをしていたわけではない。テクニックを駆使するのは狭いゾーンに限られる。1タッチ、2タッチで速くボールを動かして密集をかいくぐると、外に大きく展開してピッチを広く使った。

■オスカル、攻めの「広さ」演出

 もう少しブラジルの話をしておくと、FWネイマール(サントス)は天才扱いされているが、ゲームにかかわっている時間は短かった。ブラジルで一番良かったのはボランチのルイスグスタボ(バイエルン・ミュンヘン)だ。手堅いスコラリ監督の指示だろうが、必ず2人のCBの前に位置取りし、真ん中を締めていた。そのため日本はくさびのパスを打ち込めなかった。

 攻撃面で一番利いていたのはMFオスカル(チェルシー)だろう。非常にいい位置でパスを受ける。外に張ってばかりいるのではなく、うまく中央に入っていく。攻めの「広さ」をつくっていると言ってもいい。香川(マンチェスター・ユナイテッド)にはああいうプレーをしてほしい。

 この日のブラジルがすごかったのは、すべての選手が自分のところでボールを取り切ってしまおうという意識を持っていたことだ。たとえかわされても構わないという覚悟で体を寄せてきた。それは、若い選手たちの「何としてもこのまま代表に残りたい」という気持ちの表れでもあったと思う。

■日本、慎重でリスク取ろうとせず

 1人がボール保持者に詰めると、周りの選手が反応して挟み込みにくる。そこのフォローも速いから、ボールを奪ってから速くて厚みのあるカウンターが可能になる。

 逆に日本はプレッシャーの掛け方が甘かった。プレシャーを掛けきっていないというか、ボールを取るべきところがはっきりしなかった。もっと前からプレスを掛けて、奪ったらサポートを厚くして、思い切って攻めに踏み込めばいいのに、慎重でリスクをとろうとしなかった。あれでは相手に脅威を与えることができない。

 せっかくボールを奪っても、フォローがないから、またすぐにつぶされた。一瞬のチャンスを大きなものにできるかどうかは、勇気を持ってサポートし、攻めに出ていけるかどうかに懸かっている。

■恐怖感植え付けられ、視野狭く

 慎重になってしまったのは、もしかするとブラジルに速さを見せつけられ、失敗を過剰に恐れたからかもしれない。日本の選手はそれほど圧力を掛けられていないときにも慌ててしまってミスをした。ブラジルに恐怖感を植え付けられ、視野が狭くなっていたのだろう。

 本田(CSKAモスクワ)にしても香川にしても、このレベルの戦いでは1人で相手をかわしきれない。アジア予選ならボールを楽にキープして間をつくれるが、つぶすつもりで寄せてくるブラジルの寄せに耐えきれなかった。ちょっとボールをずらしても、体をぶつけられる。だからこそ、もっと周りとリンクすることを考えなければいけなかった。

 本田が引いてボールを受けにいっても、そこまでCBのダビドルイス(チェルシー)、チアゴシウバ(パリ・サンジェルマン)が出てきて圧力を掛けた。本田が日本の中心であり、依存度が高いことはわかっているのだから、どのチームもそこまでするはず。香川ら周りの選手がもっと本田とリンクする方法を考えていかなくてはならない。

■システム変更で目先変える必要も

 ザッケローニ監督は選手を入れ替えるだけでシステムは最後までいじらなかった。しかし、ブラジルはあの形に完全に対応していた。何かを起こすには、システム変更で目先を変える必要があった。

 2点目を取られた時点で、思い切ってシステムを3―4―3に変えてもよかったと思う。それが失敗したら批判されるかもしれないが、ワールドカップ(W杯)までの1年でチームを成長させなければならないのだから、何かにチャレンジしていかなくてはならない。

 3―4―3にすれば、清武(ニュルンベルク)のすぐ後ろに内田(シャルケ)、香川のすぐ後ろに長友(インテル・ミラノ)という形が自然にできる。距離を近くすることで、守備面で相手にプレッシャーを掛けやすくなっただろうし、攻めに転じたときの厚みを出せる。何より、ブラジルのDFラインを押し下げることができたはず。後半の45分、全く流れを変えられずに時間を消化してしまったことが残念でならない。

■ぼろ負けで知るヤマほどの改善点

 この試合の収穫を挙げるとしたら、このままではブラジルのような強豪には通用しないということがはっきりしたことだろう。選手たちは、意識の問題も含めて改善しなければならないことがヤマほどあると痛感したはず。3―4―3もこなせるようにしなければならない。そういう意味では、最少失点差で終わるのではなく、ぼろ負けしてよかったと思う。
























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